以前も日本語文法の本を読んだことがありましたが、
これはなかなか面白かった。
こんな議論があるんだということとともに
日本語の難しさを痛感してしまう。
ちなみに、本書の初版は1960年です。
本書のタイトルにもなっている
「象は鼻が長い」
主語はなんだと思いますか。。。。
実は、この問いかけ自体が間違っていると本書は指摘しています。
中学校の英語の授業を思い出すと
主語はSubjectのS、述語はVerbのV、目的語はObjectのO
と習って、SVO構文とか、SVOC、SVOOとか習いました。
実は、日本語の文法も当初はこの英語の文法に当てはめていたようなんです。
ところが、この括りでは説明ができない文章がでてきてしまった。
それが、象は鼻が長い。です。
細かいところは本書に譲りますが、
日本語において、〜〜は、の「は」は、
非常に強力な力を持っているということのようです。
〜〜の、を代行する 〜〜は、の用例はかなりたくさんあります。
一方で、〜〜が〜〜が、とダブってしまうのは日本語として落ち着きません。
〜〜は、に、〜〜が、〜〜の、〜〜に、〜〜をの代行を認めているというのです。
混み入っている文章でも、〜〜は、を用いることで
すっきりとした文章になったりする事例もあります。
本書では、日本語の 〜〜は、には主述関係は成立しないということが説かれ、
主語という言葉の使用までを否定しています。
ちなみに、日本語には主語がないとか省略されているとかよく聞きますが
それと本書の文法論とは全く違う話です。
少々、論理的になる本ですが、日本語の奥深さを知ることができますので
ご興味のあるかたは、お手にとってみてください。
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象は鼻が長い
三上 章
くろしお出版 2011年