2024年は、こちらにもアップします。

2014年10月29日水曜日

もう消費すら快楽じゃない彼女へ

現実の事件や著者の身近で起きた実話に基づくエッセイなのだが、
そのどれもが際どいリアルなテーマ。
貧困、中絶、カルト、変死体、不幸のメール......
その現実のつらさだけでなく、
ふと心の片隅にわいた視点での切り込みも面白い。

その中で、介護についての見方の切り替え方や、
無意味な世界を捉える考え方などは、なるほどと思わせる。

話題は、若貴兄弟にまでおよぶが、
全編を通して浮き出るのは「自我」という言葉かもしれない。
人間、自我にどう向き合うか、
相手の我にはどう接すればよいか、
なかなか答えが得られるものではないように思う。


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2014年10月28日火曜日

Airplane

いいなぁ。

こだわりを持ってる人の持ち物って
いつも素敵な空気を醸しだしてる。

緑に囲まれた気持ちのいいスペースと、
そこにあふれるものたち。愛でる持ち主。
そしてそのご家族。

少しの間でしたが、とてもいい時間を過ごすことができました。
ありがとうございました。


Airplane

2014年10月26日日曜日

蒼い時

プロローグでのトーンセッティングに意表を突かれ、
続く5本の話がとても重い。
読んでみて正直つらいとさえ思う時もあったが、
この本を僅か21歳で書いた著者の正直な思い、
葛藤、それでも前に進もうとする意志を強く感じる。

後半は随想とした短い日常の想いを綴る話が続き、
歌手や芸能活動に触れる話になると、最初のトーンがまた戻って来る。

最後のあとがきは、自分のネーム入りの原稿用紙に直筆で描かれており、
そこには修正の後もありません。

確か、当時はいろいろと話題になった本だったように記憶しています。
マスコミや活字、世間の目に誰よりも晒されていたのに、
騒がれ叩かれることを前提に全てを書いていて、
それを乗り越えて幸せになることを目指す著者の強さに触れられると思います。


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2014年10月22日水曜日

忘れられる過去

文学文芸エッセイ。
ずっと読みたくでリストアップしていて、最近ようやく読んだ。
本を読むことの面白さ、言葉や文字使いの妙味を教えてくれます。

文章には書く人のサイクルがあり成長が見える。
やはり大人の言葉があるようです。
でも、読む側は、あまり読解に神経質になる必要はなく
単純に心を動かされたかどうかが大切。

また、文学は社会生活に実際に役立つという
「文学は実学である」では、
知らねば人生がまるきり違ったものになる
という文芸作品を教えてくれるのが嬉しくなります。

日本の作家の変遷を整理してるところも面白い。
誰が誰を呑み込んだとか、軽い時代の村上春樹とか。
で、最後の「今日の一冊」は大変共感するんです。

読書が好きになる本だと思います。


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2014年10月17日金曜日

ヤンとカワカマス

本編はわずか69頁。
挿し絵もたっぷりで、字も大きいので1時間もかからずに読めてしまう。
かといって子供向けではない。

ヤンという猫の家にカワカマスが訪れ、
お祭りのためにヤンからいろいろなものを借りていく。
そして、今度はヤンがカワカマスのところへ。
広い草原と大きな河、雨が降って季節が巡り、 時が流れ、最後にヤンは....。

この物語を補佐してくれるのが、はじめに と、
あとがき と、さらにあとがき と、しつこいあとがき。
ほんの一刻を大事にすることと、ヤンにもカワカマスにも
優しさのあることに気づかせてくれます。
それがわからないようなら、ダメだしをされてしまいます。
自分も最初に読んだときはダメでした。

是非、2度は読んでほしい。すぐ読めますから。

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2014年10月16日木曜日

すべてきみに宛てた手紙

39通からなる手紙エッセイ。
タイトルや装丁から、Love Loveな話かなと思ってたら違う。
詩人である著者は、言葉をとても大事にしていることがわかる。
そして、自然、絵本、音楽のことも。
人生や大切にしたいものへの愛を綴っていたのかも。

以前に詩人のエッセイを読んだ時もそうだったが、散文の行間がよい。
言葉では言い表せない世界がそこに奥深く広がる感じがする。
そんな中で、記憶と疎開についての文章がよかったので紹介する。

「記憶は、過去のものではない。
 それは、すでに過ぎ去ったもののことではなく、
 むしろ過ぎ去らなかったもののことだ。」

そして戦争で親もとを離れた小癪な子供だった頃を振り返り

「わたしが子どもだったとき、
 厳しかったのは時代であり、優しかったのは季節でした」


実を言うと最も好きなのは14番目の手紙で
「微笑みについて」なのだが、それについては書かない。

読み込み中

2014年10月12日日曜日

聖なる怠け者の冒険

著者 : 森見登美彦
朝日新聞出版
発売日 : 2013-05-21
主人公は、一応、小和田君らしいが、前半は殆ど出てこない。
それでいて、勝手に にどんどん話は進んで行く。
同じパラグラフの中でも、ぐいっと転回して話が進む。
漫画を読んでいるようなスピード感に近い。
後半の情景は「千と千尋....」の「油屋」を思い起こさせ、
自分には八兵衛明神が、あのキャラと重なってしまい、
よけいに漫画っぽく感じたかもしれない。

にも関わらず、物語のうえでは単に土曜日一日しか時間は経っておらず、
話がぎゅうと詰まっているようだが、主人公とおぼしき小和田君は怠け者で、
最後になるまであまり動きがないという不思議なお話。

で、結局、この話は狸に化かされる話なのかな?
でも、正義の怪人「ぽんぽこ仮面」は実在するしな〜.....。

あっ、そうそう、テングブランっていう電気ブランもどきのお酒も出てくるよ。

読み込み中

2014年10月7日火曜日

飛行船の飛ぶ空

随筆ではない。随想。
名前を忘れたが顔は憶えているあの目の大きな俳優が
ナレーションをするNHKにあるような番組をイメージさせる。
文章と描かれるその情景の間に少し距離感があるように思う。
その隙間に、読んでる自分が入り込むような感じ。
せいぜい5〜6ページのものが42編。
いくつかは過ぎ去った長い時間を想うタイムトラベル的な錯覚にはまる。
「玄関」というやつとか。
また、初版は1990年と古くもないのに、読んでいると、
あれっ?どう読むんだっけと思う漢字の使い方がでてくる。
殆どはすぐ気がつくけど。「真逆」とかね。

それと、最後の後記を読んでわかったのだが、
この本、活版印刷なのである。驚き。


読み込み中

2014年10月5日日曜日

午睡

追い立てられることのない時間。

十分な休息をとるなら午睡にかぎるね。
休日だからって、出かけなきゃいけないことはないんだよ。
そうは言うものの、結局、いそいそと出かけて疲れ果てて帰ってくるんだけどね。
かるく汗をかくくらいが丁度いいのかね。

最近、午睡してないな。

午睡


2014年10月3日金曜日

地元写真倶楽部の合同写真展


今年も地元の湘南写真倶楽部の合同写真展に出展します。
茅ヶ崎駅からすぐの市民ギャラリーなのでアクセスも楽チン。
お時間あれば、ぜしお越しくださいませ〜

2014年11月5日(水)~11月9日(日)10:00~20:00
(5日は13:00オープン 9日は17:00終了)
茅ヶ崎市民ギャラリー展示室
 茅ヶ崎市元町1-1 ネスパ茅ヶ崎ビル4F
  駅直結デッキから当ビル3階に入れます。

2014年10月2日木曜日

幕末史

ペリー来航から大久保利通が暗殺されるまでの25年間の話。
もともと講座で話された内容がもとなので、語り部の話を聴く感覚で楽しめる。

著者の歴史物はわかりやすく、ときに軽く脱線したり、
歴史上高名な人物のゴシップ的な話や、
有名な歴史作家の著述をチクリと刺したりで、
飽きさせずどんどん読み進めてしまう。
以前、「昭和史」、「昭和史 戦後編」も読んだ。
3冊ともかなりの分量だったがページ数を感じさせないのはさすが。
TVによく出演している元NHKキャスターの方もしかりだが、
わかりやすいというのは大変な強みだと思う。
その主義主張がどうあれ、理解されやすく平易な言葉で説かれ、
それでいて史実や物証をきちんと示されるともう頷くしかない。

「明治維新」という時の呼称を批判し、
「つぎの国家」の骨格はできずに「権力闘争」だった
という指摘にも納得せざるをえないのである。