2024年は、こちらにもアップします。

2018年6月21日木曜日

読了メモ「音楽する人間 ノードフ - ロビンズ創造的音楽療法への遥かな旅」クライヴ・ロビンズ



読了。

音楽、特に生の演奏を通じて
自閉症、健康障害、神経性障害、重複障害など
さまざまな障害を持つ子どもたちに問いかけや、
新しい発見や発育を促していく。

本書の中には、シュタイナーの人智学という言葉が頻繁にでてくる。
自分はそれを学んだわけではないが、
一種の霊的な力の考え方も含んでいるようで
音楽はそれを導き出すというのだ。

それがどうかは別にして、
実際、生で演奏をしながら、簡単な言葉を
子どもたちになげかけていくと
不思議なことに、それまでなんの横のつながりもなく
殻に閉じこもっていた子どもたち同士の間に
わずかづつコミュニケーションが生まれる。

部屋の中に、葉っぱを散らし、箒を分解しておくと
まずは、箒を作ろうとみんなで協力し、
葉っぱのゴミを一箇所に集めようとする。

人と全く話すことを拒んでいた子どもが
演奏を通して話しかけることで
挨拶をし、問いかけを始める。
母親の運転する帰りの車の中で、歌を歌い始める。
今までなかったことだ。母親の驚きようったらない。

当然と言っては残念だが、
このような試みを拒絶する人々もいることも記されている。
しかし、それも実績を積み上げていくことで
立証され、信頼を得ていく。


自らの意識を「あらねばならぬ」ではなく
「何者であるか」と解釈していくことと結ぶ。

考え方や信念を活字で理解することは
難しいかもしれないが、本書には
付録としてDVDが付いている。
創造的音楽療法の貴重な記録映像だ。
本文を読みを得た後、実際の姿が結果がそこで見えるのは
大変な説得力がある。

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音楽する人間 ノードフ・ロビンズ創造的音楽療法への遥かな旅
クライヴ・ロビンズ 生野里花 訳
春秋社 2007年



2018年6月11日月曜日

読了メモ「今宵も歌舞伎へまいります」沼野正子



読了。

自分は文楽や浄瑠璃はないけれど、
歌舞伎は観たことがある..........と胸をはっていえるかどうか。

なにせ学校の行事で「仮名手本忠臣蔵」を観に行った「事実」しか覚えてないからだ。
しかも観劇中は見事に寝てしまった。
歌舞伎座関係者の皆さん、引率の先生、すいません。

本書は、著者がイラストレーターで絵本作家でもあり
彼女の書いたイラストが入っていたりと
わかりやすく、面白く描かれているのだが、
自分には、やはり古典芸能のハードルは高かった。


前半は主だった作品、後半は個性ある役者にそれぞれ焦点をあてている。
あの四谷怪談が裏では忠臣蔵の浅野家、吉良家と繋がっている話だとは
ここで初めて知った。知ってました?
歌舞伎は舞台転換の鮮やかさも見どころの一つで、
8時だよ全員集合のおおがかりなコントも比較にならないそうな。
あたりまえか。

また、歌舞伎というのは、そもそも非常に長い演劇で
その日に上演されるのも、「・・・の幕」とか「・・・の場」と
一部分しか上演されず、なんと「本日はこれまで!」とかいって
いきなり幕が降りてしまうことも初めて知った。
う〜む、となるとこれは、のめり込ませようと
通い詰めにならざるをえない仕掛けなんかいな。


役者のところでは、著者はあえて、女形を軸に書いている。
随所に、玉三郎や雀右衛門という名前が頻繁に出てくる。
もはや舞台で観ることは叶わないが
特に雀右衛門についてはべた褒めであった。
子供のころから三味線、琴、胡弓、長唄、義太夫などなど
いろいろな素養を身につけておかねばならない厳しさも描かれていました。


この先、一度は歌舞伎観劇にチャレンジしてみようかな
ところで、あの「成田屋!」「中村屋!」という合いの手は
誰がどういうタイミングで出しているんだろうか。
もし観客だとして、タイミング外すと顰蹙を買うんだろうなぁ。。。


で、Youtubeでは削除されてまい、書き込みの字がうるさいのですが
こちらでよろしければ。(本書とは全く関係ありません)



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今宵も歌舞伎へまいります
沼野正子
晶文社 2001年