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2025年3月25日火曜日

読了メモ「国境の南、太陽の西」 村上春樹 作

 


読了。

    「国境の南、太陽の西」
        村上春樹
        講談社 1992年10月

久しぶりに春樹さんの本。まったくもっての不倫の話。春樹さんの小説については、好き嫌いがわかれるという話をよく聞くが、もしかしたらこのような作品が分水嶺になっているかもしれないと思った。確かに、読んでいて主人公ってやつはずいぶんと自分に都合のよい勝手なやつだなぁと思ったものだ。かと思いきやこんな一言を呟いたりする。

    「まずまずの素晴らしいものを求めて何かにのめり込む人間はいない。
     九の外れがあっても、一の至高体験を求めて人間は何かに向かっていくんだ。
     そして、それが世界を動かしていくんだ。」(p146)

こういう少々キザなセリフが、いかにも鼻をつくのだけれど、言っている中身は至極真っ当だったりする。でもね、どんなに綺麗なことを言っていても、やっぱり不倫はいかんと思います。


2021年7月8日木曜日

読了メモ「東京奇譚集」村上春樹


読了。

村上さんの短編集です。
奇譚集ということは、不思議な話、ちょっと怪しい話というところでしょうか。
村上さんの長編小説は苦手という方も読みやすいと思います。

お話は五つ。
 1)偶然の旅人
 2)ハナレイ・ベイ
 3)どこであれそれが見つかりそうな場所で
 4)日々移動する腎臓のかたちをした石
 5)品川猿

1)は、書店のカフェで偶然出会った女性の運命と、
自分の姉の病気が重なる話。姉の命は助かるが、
カフェの女性の行方は不明。

2)は、サーフィン中に鮫に襲われて死亡した息子のため
ハワイに行く母親。自然の摂理と戦争の犠牲が対比される情景。
そして、謎の片足の日本人サーファー。

3)は、夫が突然蒸発。マンションの下の階に住む
義母のところへ行ったきり帰ってこない。
マンションの階段で住人と交わすも手がかりはなし。

4)は、主人公は小説家で女医の話を書いている。
彼女は腎臓の形をした石を見つけ文鎮がわりに使うが、
昨日に置いた場所とは違った場所に、次の日には石がある。

5)は、自分の名前を忘れてしまう女。学生時代の寮で一緒だった
下級生から預かった名札。自分の名札と一緒にずっと持ったいた。
ところが、それを盗んだ奴がいる。


とまぁ、こんな感じの話が入っています。
不思議なありえない話ばかりなのですが、
どこかで起きていそうな感じもしなくはない
妙な雰囲気が醸し出されています。

いくつものできごとが次々に発生してくるのは
いつもの村上流ですけれど、
ゆる〜く、主人公の感情と絡みついてくる感覚は
なんともいえませんね。

5)の 品川猿 は飛び抜けちゃってますが、
最後にくすっと笑える要素があって
本書の締めにはよい作品だったかな。

村上さんのファンである方も、そうでない方も是非。

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東京奇譚集
村上春樹
新潮社 2005年

※文庫本でのご案内です。

2021年1月23日土曜日

読了メモ「スプートニクの恋人」村上春樹



読了。

ご存知、村上さんの長編です。
読まれた方も多いのではないでしょうか。

ラブストーリーであはあるんだけど、
だんだんとミステリー感も増してくるし
文章そのものも綺麗な印象を受けました。
村上さんの中では好きな作品の一つです。

前半は、村上さん独特の浮遊感があるけれど
すみれという果敢な小説家志望の女性の心情や
憧れの女性との出会いが、薄靄にかかったような感覚で進んでいきます。
それでも、ギリシャの場面に入ると
目の前にパ〜っと青空が開けて物語が展開していきます。
空と建物のコントラスト感といったら素敵すぎます。

ただ、そのあとで、この人物に
大きな異変が訪れます。
向こう側とこちら側。
決して死の暗喩ではないと思うのだけれど
愛され慕われつつも行方不明になってしまう
相手のことが思い浮かばずにはいられません。

スイスの観覧車のシーンで、その女性が
ペーパーバックを読み始めるけれど
状況が状況だけに、読んでも中身が全く
頭に入ってこないというところがあります。
自分なんかも、自宅で本を読んでいても
頭の中は全く別のことを考えている時があって
いつの間にか、ページだけ進んでいる
ということがままあります。
読書は集中力を必要とすることだなと
常々思うところであります。


また、後半では、いきなり超リアルな世界に引き戻されます。
主人公でもある「ぼく」は小学校の先生なのですが
生徒や生徒のお母さん、警備員と交わされるやりとりは
これまでの女性二人との物語とは正反対の世界。

そんなことがあって、行方不明の彼女との連絡が最後に取れるのですが、
そこには、全く別の時間を過ごしてきた彼女がいて
会話をしているようで、会話は成立していない。
おそらく、二度と会うことはないのでしょう。

時間というものは、それぞれの人間や
世界のあらゆるところで、全く違う過ぎ方をしているんだな
ということを思わせる作品でした。


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スプートニクの恋人
村上春樹
講談社 1999年








2020年5月6日水曜日

読了メモ「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹



読了。

Stay Homeという掛け声の下、
今年のGWは、がまんのウィークという呼びかけの下、
みなさまにおかれましては、どのような連休をお過ごしでしょうか。
自分は、ご多聞にもれずひっそりと蟄居しております。
結果、運動不足のため、足が浮腫んで毎日マッサージに余念がありません。

こんなどこにも出かけられない連休の時は、
長編でも読みましょうかねということで
本書を選びました。618ページ。

村上先生お得意の(?)並行する二つのお話があって、
また導入がいきなりな設定すぎて
それでいやんなっちゃう人もいるんだろうなと思いつつも
読み進めていくと、この世界観からは
なかなか抜け出せなくなります。

しっかりと、途中で伏線もあるし、
最後はこうなるんだろうなと思わせる節を
読み取っていくのも面白いかもしれません。
単に、自分が混乱しているだけかもしれませんが。

羊に比べると一角獣は端正で美しく、
清楚なイメージがあります。
そもそも、想像上の動物ですが、
雪の中を足を折り曲げて座り込んでいる姿は
どこか高貴で尊い印象を受けます。
その一角獣の頭骨が並んでいる様を
心落ち着いて読めるのがなぜか不思議です。

暗闇がやたらに多く、蛙、怪魚、押し寄せる水、
得体の知れない「やみくろ」、悪役の記号士二人組、
地下鉄銀座線に通じる下水道など
冒険心をくすぐる要素はふんだんで飽きさせません。
一方で展開される壁の中のお話では、
切り離された影との会話が好きです。

お話のキーとなるのは図書館なんだと思います。
二つのお話に共通する唯一の事象は図書館。
自分も図書館は大好きですけれど、
今は、どこも閉館。しばらく開きそうもありません。
やれやれ、寂しいな。

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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
村上春樹
新潮社 1986年




2019年3月23日土曜日

読了メモ 「図書館奇譚」 村上春樹 




読了。

またもや羊男の登場である。
この羊男はまともではないかと思う。
美味しそうなドーナツを作ってくれるし。
全体としてはホラーなのか、奇々怪界なお話です。

古い図書館の雰囲気は味わってみたいけれども
ちょっと怖いなぁ。迷路が苦手だわ。
実際にスプラッターなシーンはないけれども
ひたひたと忍び寄ってくる怖さと
不可思議な異次元空間のような展開は
なんともいえず、引き込まれます。

「奇譚」とは不思議な話ということのようだけど
怖い夢とでも言った方がいいかもしれない。
脳みそチュウチュウは、
映画の「スターシップ・トゥルーパーズ」を連想したけど、
そこまでグロではありません。
単なる脅し文句なんでしょう。

短編で読みやすいし、
著者の長編にお疲れの方にはお勧めです。
特に、本書は挿絵が迫力があっていい。
心の底の闇を挿絵と一緒に味わってください。


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図書館奇譚
村上春樹
新潮社 2014年

2018年11月23日金曜日

読了メモ「パン屋再襲撃」 村上春樹



読了。

ナンセンスである。

とても面白い短編が6つ。
頭を空っぽにして読むのがよい。

なんだかんだと世間の下馬評を気にしてはいけない。
純粋に短編小説を楽しむ。
本書はそういう向きの本ではないか。

その後、長編に発展していくプロローグ的な話もあるから
こっちを読んでから長編にいくもよし、
長編をよんでから、こっちに戻って
ニヤついて読むもよしだと思います。

やっぱりその鳥というか猫というか
小さな女の子というか路地の話がよかったし
ファミリーアフェアーという妹とその婚約者の話や
象の消えた話で異次元の世界へ入っていって
頭の中がぐるぐると回ってしまい面白かった。

しかしながら、マクドナルドはパン屋なのだろうか
とずっと思っている。
あなたはどう思いますか。

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パン屋再襲撃
村上春樹
文藝春秋 1986年

2018年5月31日木曜日

読了メモ「ダンス・ダンス・ダンス」村上春樹



読了。

懐かしいですか? そうかもしれませんね。

なんつうか浮世離れした架空の話。小説だからいいのか。
唯一、社会的なのはメガネをかけたユミヨシさんだけかな。
ちょうどバブルが弾ける直前の頃の作品とはいえ
こうも世界が違うと、小説というよりも
夢か幻想を読み流しているみたい。

電話がダイヤル式で、もちろん携帯はない。
途中で予定が変更になっても、電話が通じなければどうにもならない。
アナログな時代だから、リニアにクロノロジカルに
時は進むと思えば、人間は一瞬にして年を取るんだそうな。

そんな中で、ぐるぐるとまるで踊るように人に会い
渡り歩いて、最後に思っていた人と再会することができる。
ハッピーエンドなのではないか。
まさに、踊っているというタイトルにつながるのか。

ただ、その途中で出会う人々、そして例によって羊と鼠がこの世を去る。
一方、あの生意気な少女のユキはどうなるのか。
母親や辻堂の父親との関係は修復しないままなのだろう。
そういう意味ではハッピーではない。
もう主人公とも関係ない人生となるのだろう。


雪かきの話がなんどか出てきます。
雪かきそのものは大事な行為だけれど
全ての雪かきのパターンを理解するのは
自分にはちょっとハードルは高い。
頭が固くなってしまったのか、人生経験がうすっぺらいのか。

一人で立ち回っている話なので話は理解しやすい。
そのかわり他の登場人物が、ほとんどぶっとんでいるけれど。

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ダンス・ダンス・ダンス
村上春樹
講談社 1988年