2024年は、こちらにもアップします。

2019年3月23日土曜日

読了メモ 「図書館奇譚」 村上春樹 




読了。

またもや羊男の登場である。
この羊男はまともではないかと思う。
美味しそうなドーナツを作ってくれるし。
全体としてはホラーなのか、奇々怪界なお話です。

古い図書館の雰囲気は味わってみたいけれども
ちょっと怖いなぁ。迷路が苦手だわ。
実際にスプラッターなシーンはないけれども
ひたひたと忍び寄ってくる怖さと
不可思議な異次元空間のような展開は
なんともいえず、引き込まれます。

「奇譚」とは不思議な話ということのようだけど
怖い夢とでも言った方がいいかもしれない。
脳みそチュウチュウは、
映画の「スターシップ・トゥルーパーズ」を連想したけど、
そこまでグロではありません。
単なる脅し文句なんでしょう。

短編で読みやすいし、
著者の長編にお疲れの方にはお勧めです。
特に、本書は挿絵が迫力があっていい。
心の底の闇を挿絵と一緒に味わってください。


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図書館奇譚
村上春樹
新潮社 2014年

2019年3月10日日曜日

読了メモ「小鳥がうたう、私もうたう。静かな空に響くから」 カヒミ カリィ



読了。

彼女がミュージシャン、歌手であることを知らなかった。
有名なTVアニメの主題歌も歌っていました。
ハスキーな声が逆に自然な感じがしてとても素敵です。


本書を手に取ったのは、
装丁の雰囲気がとても柔らかなナチュラルな感じで
荒んだ心を癒してくれそうな感じがしたから。

穏やかな心があって
そばに寄り添う人がいるってことはとても
大切なことなんだと、尊いことなんだと
なんだか柄にもないことを書いてしまうのです。

ちなみに、彼女の居場所は台所だそうです。
勉強は自ら学びたいことを選んで学ぶ時が面白い。
学歴や試験のためは、それはそれなりの意味はあるが
効率的には前者の方がはるかにいい。
そうやって、栄養バランスのある献立を考えるのは
とても楽しい勉強のようです。

本書の後半には、私の憧れの人というタイトルで
数人の方が紹介されています。
その中で、自身の母親を早くに亡くし
そのショックで電車に投身自殺を図った女性が出てきます。
後遺症はひどく、四肢も不自由です。
それでも、笑顔を絶やさず、逆に著者を励ましてくれている。
他にも、レイチェル・カーソンさんや桐島洋子さんなどが紹介されています。



では、冒頭にも書きました人気TVアニメの主題歌をどうぞ。
ポンポコリンじゃないんだよ。



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小鳥がうたう、私もうたう。静かな空に響くから
カヒミ  カリィ
主婦と生活社 2012年



2019年3月3日日曜日

読了メモ「言の葉の庭」 新海 誠



読了。

数年前に、DVDだけど
アニメーション映画で観たことがある。
静かな雨が降っている中にたたずむ
とある公園内の東屋の下で
会話をしている少年と女性の映像が印象的だった。

ストーリーは、とうに忘れてしまっていたので
今回、本書に巡り合って、その全貌が明らかになったよ。


もちろん、ラブストーリーです。
登場人物全てにいろいろな相方がいて
その誰もが個性的で、お互いの関係を大切にしている。
ふられてひりぼっちになってしまう人もいるけれど。

そんな時や、二人の気持ちを象徴的に表現する手段として
各章の末尾のページに、万葉集の一句が添えられている。
古典が苦手な私のような読者のために
簡単な訳と解説もついているので安心。


主人公の少年と女性は年齢がちょっと離れていて
最後はどうなるんだろうと、
お決まりのやきもきさせるところもあります。


少年は、海外に何年か留学して
とある技術をしっかり身につけて帰ってきます。
その技術の実ったものを彼女に届けたくて
雨降りの東屋に行くのですが
果たして、会う約束もしていなかったのに
彼女はそこにいたりするわけで、
ちょっと出来すぎじゃないかという感じはすれど
まぁ、そこは一人ではにかんじゃってください。


アニメーション映画のストーリーを忘れてしまっていたので
本書を読む方をお勧めするけれど、あの雨雫がしたたる
東屋の雰囲気、時折みせる小雨の木漏れ日の具合なんかは
映像をみると二人の雰囲気をぐっと身近に感じます。
それははっきり覚えています。

ということで、結局、両方とも観て読んではいかがでょうか。


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言の葉の庭
新海 誠
KADOKAWA   2014年