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2021年1月14日木曜日

読了メモ「エジソン ネズミの海底大冒険」トーベン・クールマン





読了。


今回は、ネズミが大活躍する絵本です。

小学校高学年くらいが対象かな。
お話の細かいつなぎの部分は
見開きの大きな絵で繋いでいたりするので
話の筋を追えて、想像力を豊かにしないと
ストーリーについていけなくなっちゃうかも。

本書は、リンドバーグ、アームストロングに続く
三作目で、タイトルはエジソンなのに
ネズミは海底冒険に挑むという
大人でもすぐにはわからない新鮮なアプローチ。


著者はイラストレーターであり絵本作家でもあり、
とにかく、絵が素晴らしい。
ネズミが主人公ということもあってか
細かいところまで大変丁寧に書き込まれている。
ネズミの学校の講義の様子など
机はよく見れば段ボール紙で作られているのがわかる。
と思えば、見開きでドド〜ンと
鯨がでてきたりして迫力も満点。


最初は一緒に行かないと尻込みしていた
教授のネズミも最後には
潜水服に身を固め、探し物を求めて
海底におりたち、宝物を見つけるのです。
その潜水服も尻尾の先まで細い潜水服で
包まれているのがかわいい。

最後は、意外なところに証拠写真があって
ここでエジソンとつながるのかというオチ。

エジソンと電球の話もしっかりと書かれていて
絵本としては、なかなかレベルの高いものではないかと思います。

対象年齢層の子どもに読み聞かせをやったら
食い入る様に覗き込んできて、
きっと喜んでくれますよ。


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エジソン ネズミの海底大冒険
トーベン・クールマン
ブロンズ新社 2019年






2020年10月29日木曜日

読了メモ「かないくん」 谷川俊太郎




読了。

何年か前に話題になった絵本です。
読んだことのある方も多いのではないでしょうか。


テーマは「死」なのですが
その死と向き合う、残される人々の心の動き。
死が近づいてきた時。
死を知らされた時。
そして、死後に残された人々の生活が始まる。

死は、終わりでもあるけれども始まりでもある。
と絵本の最後は結んでいます。

絵本の最初は小学校四年生の時の話。
かないくんの言葉は一つもありません。
あるのは、学校の先生からのかないくんの状況報告と
同じクラスの子どもたちの感じている様、思いの変化。
教室に残っているのは、かないくんの絵とか
かないくんと一緒に写っている写真とか。
それでも、すでに、かないくんのいない
同級生たちの学校生活が今まで通り始まっています。

後半は、金井君の死のことを
絵本にしようとしているおじいちゃんの話。
でも、おじいちゃんは次の桜をみることができない。
おじいちゃんは、死ぬことを
重々しくも、軽々しくも考えたくはないと言う。
絵本の終わらせ方がわからないと言う。


子どもたちにとって、死は遠いものであり終止符なのですが
時はとどまることなく進み続ける。
死を受け入れた生活が新しく始まる。
死は通過点なのでしょうか。


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かないくん
谷川俊太郎 作
松本大洋 絵
(株)東京糸井重里事務所 2014年








2020年9月20日日曜日

読了メモ「絵本の時間 絵本の部屋」 今江祥智




読了。

大真面目な絵本論である。
形式的にはエッセイとご本人は仰っていらっしゃるけれど。

国内外の絵本作家、絵本画家、そして出版社をピックアップして
その作品、作家や画家の人物像なりを
浮き彫りにしていくお話。
時折、絵本の挿絵が出てくる程度で
基本的には活字ばかりである。
大人向けの絵本と思ったら大間違い。


絵本なので、子どもに迎えられることが
評価の物差しの一つであることは自明。
でも、あなたは大人でしょう?
一人の大人として絵本と向き合った時、
まず自分がどう思ったか、その判断から出発してください。
それには自分の文学的鑑賞力、美意識をはじめ
あなた自身が試されています。
というくだりが心にぐさりと刺さりました。

そして、気になるのはやはり戦争と差別の問題。
軍国主義に進む時、絵本の世界も
いつのまにか画一化されていき、
お話ばかりでなく、挿絵の色調や図柄まで
戦争を受け入れる方向に全ての絵本が向かっていったのだそうです。
大変恐ろしいと思いませんか。

また、差別の問題では、ちびくろさんぼの事案があります。
もともと、小さな子どもたちの
冒険活劇のリーダーとして、さんぼは
国内外の子どもたちに愛されていたものでした。
作者ももちろん、さんぼを卑下して書いたものではありません。
虎が木の周りを走っているうちに
バターになってしまうお話は自分も覚えています。
それがいつの間にかタブーな絵本となってしまった。
難しい問題を孕んでいますが、これこそ、小さな枠に囚われず、
ちびくろさんぼを強いらなよ、から、知らないよと
子供たちが考え、広い視野で世界を見てもらえるようになって欲しい。
と著者は訴えています。


本書は表紙の装丁から、ゴシックホラー的な印象さえ受けます。
大人の影に隠れてやや怯えるような少女。
文中にも書きましたが、子どもに受け入れられることは当たり前として
大人がその絵本に対してどういう考え方を持っているのか。
それ次第で、絵本は子どもをダークサイドに
誘ってしまうものなのかもしれないと思ったのでした。

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絵本の時間 絵本の部屋
今江祥智
すばる書房 1975年




2019年9月4日水曜日

読了メモ「新編 子どもの図書館」 石井桃子




読了。

ちょっと、今までにない分野を読んでみた。

児童文学っていいよね〜とはずっと言ってきたけれど
その児童向けに自ら「かつら文庫」なる私設図書館を作って
子どもたちに少しでも、読書に馴染んでもらいたい、
本をたくさん読んでもらいたい、
という思いがたくさん詰まった一冊です。

時代は1960年代前半。
日本が高度成長期に入っていく頃の時代背景で
日本での児童向け図書館に対する考え方はお粗末なものでした。

著者の石井さんは、文庫を開設するにあたって渡米して
海外における児童図書館の施策レベルの高さ、
職員や周囲の大人の意識の高さに驚愕します。

日本に帰ってくると、たくさんの子どもたちが
文庫にやってくるのですが、その親たちは
文庫を学校か教育機関の延長線のものとしかみておらず、
「どういう読書の指導をしているのですか」とか
「読み方はどのように教えているのでしょうか」
などのような質問をしてくる親御さんがあったとか。


文庫を支援してくれるお姉さんたちのお話や
兄弟の世話をしながら、本を読みに来る子ども、
親の転勤事情で止むを得ず文庫を離れていく子どもなど
当時の文庫運営の楽しさと難しさが
やさしい石井さんの文章で書かれています。

石井さんはすでに亡くなられています。なんと享年101歳!
生前に文庫開設40周年同窓会なるものが開かれて
当時の世話役のお姉さんや、本を読みふけっていた
子どもたちが集まる機会があったそうです。

今でこそ、公共図書館と呼ばれるところには
児童図書コーナーや児童図書室は併設されていますが
石井さんの子ども図書館に対する思いは
この先の時代にも受け継がれていってほしいと思いました。

みなさんも、あの絵本やあの本とか
子どもの頃に読んだ思い出深い本がいっぱいありますよね。


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石井桃子コレクションⅢ  新編 子どもの図書館
石井桃子
岩波書店 2015年