2024年は、こちらにもアップします。

2019年12月30日月曜日

読了2019





なんと、少ない!
タイトル数にして12。
冊数では14冊。

実はここにはリストアップしていない
読了本もあと3冊ほどあるにはあるのですが、
ちょっと不釣り合いなので省いてしまいました。
電車の中で読み始めると眠くなったりとか
他にやらねばならぬこととの時間のやりくりが下手だったり
言い訳になってしまいますが
ちょっと不甲斐ないなぁ。

2020年はもう少しは読みたいと思います。
一応、スライドショーにもしてみましたが
50秒で終わりますw。


■オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下
著者:オリバー・ストーン
読了日:1月14日

■オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史: 2 ケネディと世界存亡の危機
著者:オリバー・ストーン
読了日:1月27日

■オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史: 3 帝国の緩やかな黄昏
著者:オリバー・ストーン
読了日:2月17日

■虹の岬の喫茶店
著者:森沢明夫
読了日:2月21日

■小説 言の葉の庭
著者:新海誠
読了日: 2月28日

■小鳥がうたう、私もうたう。静かな空に響くから
著者:カヒミ・カリィ
読了日:3月6日

■図書館奇譚
著者:村上春樹
読了日:3月11日

■ネコとクラリネットふき
著者:岡田淳
読了日: 6月9日

■新編 子どもの図書館〈石井桃子コレクションIII〉
著者:石井桃子
読了日:9月4日

■湘南に愛をこめて
著者:加山雄三
読了日: 9月14日

■似顔絵物語
著者:和田誠
読了日: 10月13日

■海色の壜
著者:田丸雅智
読了日:12月16日

■季節配達人
著者:田丸雅智
読了日: 12月16日

■明日の明日の夢の果て
著者:小松左京
読了日: 12月24日


2019年12月25日水曜日

読了メモ「明日の明日の夢の果て」 小松左京



読了。

著者の小松左京といえば、
「日本沈没」があまりにも有名ですが、
短編SFも人間社会の未来に警告を発する
お話がいくつかあります。

本書は、1972年出版なので
時代背景的には、もはや古めかしいのですけれど
当時から、こんな視点、切り口で
作品を書いていたのはやはり驚きではあります。

まさにこれから本格化しようとしている
キャッシュレス時代を描いた
「プライベート・マネー」
キャッシュレスは全てのお金の流れがコンピュータで
捕まえられてしまうので、キャッシュを使えば
誰にも文句を言われないというお話。

唾液と血液で個人認証するクレジットカードが
実は、自分の魂、果ては家族の魂までもを
担保にしているという悪魔の操る
「黒いクレジットカード」

タイトルにもなっている
「明日の明日の夢の果て」では
縄文時代で栄養失調で死にそうなお爺さんが
夢を見るたびに、自分の子孫の未来の時代に
タイムスリップしていき、世の中は
豊かになり、争い事もなくなってきているけれど
自分の居場所がないことを悟り
森の中でロボットに連れられて
息を引き取るというなんともやりきれないお話。


人間相手ではセックスができなくなってしまう
エロいお話もあったりして
それは、ここでは省きますが、
人間のエゴというか
人間ってつくづく勝手な生き物なんだなぁ
と切なくなるお話ばかりです。


新年を良き年とし、少しでも人間らしく
生きていくためにいかがでしょうか。

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明日の明日の夢の果て
小松左京
角川書店 1972年

2019年12月16日月曜日

読了メモ「海色の壜」「季節配達人」 田丸雅智



読了。

今回は、ショートショートの本二冊です。

著者の田丸氏は、星 新一の孫弟子にあたる筋の方だそうですが、
お生まれが、なんと自分が大学を卒業した年なのです。
なんつーかジェネレーションっつーものを感じますね。


この二冊との出会いは、本屋さんではありません。
作者としての田丸氏と、現役の女性ラジオパーソナリティの読み手、
即興音楽担当の電子ピアニスト、挿絵担当のイラストレーター、
という四人で企画開催された「野良ラジオ」という
珍しくも楽しい朗読イベントだったのでした。

ラジオにまつわる田丸氏のショートショートが読まれたのですけれど
すでにCD化されており、実をいうと自分はそのCDを事前にゲットし、
予習した上での参加だったのでした。
事前に聞いてはいたものの、
実際に生で聴くと、また臨場感がグーンとあってよき体験でした。

途中、客席からキーワードを募って
その場で作品を創作するという離れ業も。
即席のお話のタイトルは「痛風プラモデル」
観客の年齢層が推測できそうでおかしいです。
もちろん、即興音楽とイラスト付きで
すぐに朗読されるというワクワク企画だったのでした。


で、そこにあったのがこの二冊。
「海色の壜」のなかにある「海酒」というお話は
芥川賞作家でピースの又吉直樹主演で短編映画にもなったとか。
一方、小さい冊子の「季節配達人」は、
一般にはまだあまり流通していないかもしれません。


田丸氏のWebsiteに行くと朗読推進プロジェクトという
コーナーがあって、自分の作品を朗読会などで
使ってみてくださいみたいなことが書いてあります。
なので、今度、朗読会があった時には
田丸氏の作品の中から選んでみようかな。


肝心な本の内容はナンセンスなショートショート。
SFと区分される星 新一とはちょっと味付けが違うし
やはり、作品に今の風が吹いているとでもいうのでしょうか。
読んでいて若手作家の勢いを感じます。

短くて読みやすいお話ばかりなので、是非。

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田丸雅智
「海色の壜」出版芸術社 2015年
「季節配達人」田丸舎 2019年








2019年11月17日日曜日

読了メモ 植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」 戸井十月

本記事は、2015年にキュレーションサイト「iftaf」に掲載されたものに
加筆・修正を加えて再掲載したものです。




読了。

植木等の話し言葉が満載。
その行間や字句の間から、
あの明るい高笑いの声が聞こえてくる。
まさに表紙の顔そのもの。

かといって、C調で無責任な話ばかりではない。
むしろ、慎ましく質素という言葉が当てはまる。


前半は、厳しい父親の存在と、芸能界入りまでの葛藤の話。
ハナ肇や谷啓、クレージーキャッツのメンバーとの巡り合い。
青島幸男との出会い。
スーダラ節の誕生。
「お呼びでない?」のギャグの誕生にまつわる思い。


そして後半では、過労のため病に倒れ、
クレージーキャッツの人気に
陰りが見えてくる時期から老齢期にかけての
感情の変化が印象深い。

東宝の映画シリーズも終わりと言われた時、正直ホッとしたという。
「もうあのテの映画にでなくていいと思った」と。
一方で、不安も...。


「明るく陽気で、調子よく世渡りする青年を演じ続けている内に、
そういう生き方をしなくちゃ植木等じゃないと、
自分自身で無意識の内に思い込んでいた。

だから、自分が「王将」の坂田三吉の役を
やる齢になっていたことに驚いちゃってね。」


若い監督が試行錯誤をし、成長していく姿をみて、
自分もそういう気持ちを忘れたくないし、威張ったりもしたくない。
あの黒澤 明を、甘ったれてる、大した男じゃない。
と叱咤することもあったという。


最後に自分たるところをぶれなく持っているところが嬉しい。


「笑顔と明るさね。
笑顔がなくなって、
明るさがなくなったら、
僕の存在価値なし!」


巻末には、谷啓や付き人兼ドライバーだった小松政夫へのインタビューもついている。
この小松政夫のインタビューがまた泣かせます。


いろいろ書きましたが、これもジャケ買いです(笑)

では、どうぞ。



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植木等伝「わかっちゃいるけどやめられない!」
戸井十月
小学館 2007年

2019年11月2日土曜日

読了メモ「似顔絵物語」 和田 誠




読了。

ずいぶんと、日にちが経ってしまいましたが
和田 誠さんが亡くなられました。
ご冥福をお祈り申し上げます。

和田さんといえば、細い線で書かれた
イラストや似顔絵のイメージなんですけど
最初のころは、筆で書いていたらしいです。

学生の頃は、時間割を先生の似顔絵で作成したり
友人の似顔絵も描いたりして、練習していたそうです。
本書にも、和田さんの描いた似顔絵がふんだんに載っています。

以前、江口寿史さんのイベントに行ったことがあって
即興でお客さんの似顔絵を描くというコーナーがあったんですけど
これがとてもいい訓練になるんだと言っていました。
何事も努力ですね。
本書の文末にも和田さんらしい取り上げ方で
努力することの大切さを諭してくださっています。


本書には、いろんな似顔絵描きの方の話がたくさんでてきます。
もちろん山藤章二さんとの話もあります。
週刊朝日を後ろから開かせる男と言わしめた
あのブラッック=アングルという似顔絵のコーナーです。
和田さんは、とてもとてもあんな風には書けないと言っています。
顔以外の部分も含めて、その当時に起きた事件や世論を
一つにまとめてしまうっていう技術は、なかなかできないし
それでいて、とてつもない量を書いているので
全く追いつけないと言っています。

安西水丸さんが描く村上春樹さんの話もあって
和田さん曰く、あれは、あまり似ていないけど
村上春樹以外の何者でもない、ある種の記号といえるかもしれないなと。
もしかしたらピクトグラムとでも言いたかったのかな。


ちなみに、イラストレーターという肩書を使い始めたのは
和田さんだとか。本当かな。ちょっと意外。
その和田さんのお顔、もしくは自画像をご存知の方はいますか?
案外、似顔絵の上手な方って自分の顔を描かないようですね。
本書には、和田さんの似顔絵が載っていますので
是非みてください。ちょっとイメージかわるかもw

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似顔絵物語
和田 誠
白水社 2006年




2019年9月14日土曜日

読了メモ「湘南に愛をこめて」 加山雄三




読了。

茅ヶ崎の若大将の自伝的エッセイです。
表紙のイラストは、ご存知、和田 誠さん。
ちょっと、おとぼけ感のあるお顔ですけど
そんなことはありません。

会話の文はもちろんのこと、
地の文の一字一句までが
加山雄三節とでもいうのか
爽やかさ満載の一冊です。

個人的に、他に爽やかな人といえば、
現在の巨人監督の原 辰徳さんとかを思い浮かべるけれど
加山さんにはかないません。特に本書を読んだ後は。

加山さん、実は茅ヶ崎生まれではないんだそうですけれど
幼少の頃に引っ越してきてから、
ずっと茅ヶ崎で育ち、学校に行き、
映画スター、歌手になって
すっかり茅ヶ崎の海のイメージです。
若大将シリーズで山をテーマにした歌を作ったというのですが
スタッフや監督からは、こりゃ海の歌だねと言われたほど。

もともとは、船舶技師になりたかったらしく、
自分の手で、カヌーやヨットをどんどん作っていきます。
その実行力には本当に圧倒されます。
当時、船を作っている写真とかも掲載されているのですが
作業をしながらの加山さんの笑顔がまたいいのです。
これが、光進丸に引き継がれていくんですね。
そういえば、先般、あの船が炎上してしまった事故があったけれど
その後はどうしているんでしょうか。

忘れてならないのが、
茅ヶ崎のランドマーク的な存在だったパシフィックホテル。
覚えている人いますよね。
叔父さんにあたる人のホテルだったらしいのですが
ホテル経営がうまくいかず、
結果として、数十億円の借金を加山さんは
背負いこむことになったらしいです。
そんな苦しい最中に結婚をしたり、
お父さんの上原 謙さんとの厳しくも優しい
親子のやりとりもふんだんに描かれています。


正直、こそばゆいくらいに
加山さん加山さんしている本です。
「君といつまでも」のセリフは
最初、照れて照れて本当に恥ずかしかったとか。
この動画をみるとそれがよくわかりますよw

是非、本書を読んで、
貴方も「君といつまでも」を歌って、
一度、セリフを言ってみてはいかがですか。いや〜照れるなぁ。





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湘南に愛をこめて
加山雄三
ファンハウス 1990年



2019年9月4日水曜日

読了メモ「新編 子どもの図書館」 石井桃子




読了。

ちょっと、今までにない分野を読んでみた。

児童文学っていいよね〜とはずっと言ってきたけれど
その児童向けに自ら「かつら文庫」なる私設図書館を作って
子どもたちに少しでも、読書に馴染んでもらいたい、
本をたくさん読んでもらいたい、
という思いがたくさん詰まった一冊です。

時代は1960年代前半。
日本が高度成長期に入っていく頃の時代背景で
日本での児童向け図書館に対する考え方はお粗末なものでした。

著者の石井さんは、文庫を開設するにあたって渡米して
海外における児童図書館の施策レベルの高さ、
職員や周囲の大人の意識の高さに驚愕します。

日本に帰ってくると、たくさんの子どもたちが
文庫にやってくるのですが、その親たちは
文庫を学校か教育機関の延長線のものとしかみておらず、
「どういう読書の指導をしているのですか」とか
「読み方はどのように教えているのでしょうか」
などのような質問をしてくる親御さんがあったとか。


文庫を支援してくれるお姉さんたちのお話や
兄弟の世話をしながら、本を読みに来る子ども、
親の転勤事情で止むを得ず文庫を離れていく子どもなど
当時の文庫運営の楽しさと難しさが
やさしい石井さんの文章で書かれています。

石井さんはすでに亡くなられています。なんと享年101歳!
生前に文庫開設40周年同窓会なるものが開かれて
当時の世話役のお姉さんや、本を読みふけっていた
子どもたちが集まる機会があったそうです。

今でこそ、公共図書館と呼ばれるところには
児童図書コーナーや児童図書室は併設されていますが
石井さんの子ども図書館に対する思いは
この先の時代にも受け継がれていってほしいと思いました。

みなさんも、あの絵本やあの本とか
子どもの頃に読んだ思い出深い本がいっぱいありますよね。


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石井桃子コレクションⅢ  新編 子どもの図書館
石井桃子
岩波書店 2015年



2019年8月20日火曜日

読了メモ「押絵と旅する男」江戸川乱歩



読了。

いやはや、2ヶ月少々ぶりの更新でしょうかw

しかも、超短編です。
2年ほど前に、江戸川乱歩の本を紹介した時
読みたかったと言っていた物語に
やっとこさたどりつきました。
そんな苦労もなかったのですけどね。

「屋根裏の散歩者(既読)」というタイトルの
文庫の短編集に入っていました。
ずっと寝かせていたのですが、
とあるきっかけがあって、俄然読み始めることに。
何回読んだろう。。。


相変わらず、不思議な世界観。
今回のお話は強いて言えば御伽話っぽい。
舞台が浅草の観音堂の裏だったりして
通称「ダメ人間」が集う向こう側に
江戸川乱歩の世界があったんだなんて思うと
それもなんだかくすぐられます。

お話は、押絵が生まれた秘話です。
お宅に古い双眼鏡とかってありますか?
逆さに覗いちゃだめですよ。
二度と元の世界に戻れませんから。


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押絵と旅する男〜「屋根裏の散歩者」より
江戸川乱歩
春陽堂 1993年









2019年6月10日月曜日

読了メモ「ネコとクラリネットふき」 岡田 淳



読了。

久々の読了メモです。

ちょいと今年は、訳あって読書量を落としているのですが
ちびちびとは読んでおります。

で、今回は初めての絵本であります。
れっきとした絵本。
地の文も漢字なしの完全子ども向け。

というのも、目黒にある絵本屋さんで
読み聞かせのイベントがあると知り、
BGMにはウクレレが鳴るということもあって、
ちょっと参戦してきたのであります。
もちろん読み聞かせの方でね。

お話は、クラリネットを吹くのが好きな男性が
家の前にいたネコにクラリネットを聞かせることで
始まる不思議でユーモラスなお話。

会場の本屋さんには、子どものほかに
大人の方もいらしていて、みんな笑って聞いてくれました。

日頃の腹式呼吸の練習の成果を使って
地声で読み上げました。
なかなか楽しかったす。
で、ここでも「いい声で読み方もうまいですね」
とお褒めのお言葉を頂いてしまったので
はたまた勘違いの袋が大きく膨らんだのでした。

また、機会があったらやってみようかな。
でも絵本って持ってないんだよね〜。


自分が子どもの頃に読んだ思い出深い絵本で、
木の周りをトラが走り回っているうちにバターになるという
お話の本は、今でも流通しているそうです。
どこかで巡り会えたらいいな。

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ネコとクラリネットふき
岡田 淳
クレヨンハウス 2013年





2019年5月14日火曜日

ブックカーニバルに今年も出店します!



毎度、直前の告知で申し訳ありませんです。

今年も鎌倉で開催されるブックカーニバル2019に
謎の読了古本屋「バリエン」で出店いたします。

ご用とお急ぎでない方はもちろん、
鎌倉って混んでるしなぁとおっしゃる方も
紫陽花でもっと混む前に本探しに遊びに来てくださいまし。

ブックカーニバル in カマクラ 2019
日時:令和元年五月十八日(土)
   午前10時〜夕方(古本市は午後4時迄)
場所: 第一会場:由比ヶ浜公会堂(←自分はココに出店しまつ)
    第二会場:ガーデンスペースくるくる
    第三会場:鎌倉カルチャースペース


よろしくお願いいたします。




2019年3月23日土曜日

読了メモ 「図書館奇譚」 村上春樹 




読了。

またもや羊男の登場である。
この羊男はまともではないかと思う。
美味しそうなドーナツを作ってくれるし。
全体としてはホラーなのか、奇々怪界なお話です。

古い図書館の雰囲気は味わってみたいけれども
ちょっと怖いなぁ。迷路が苦手だわ。
実際にスプラッターなシーンはないけれども
ひたひたと忍び寄ってくる怖さと
不可思議な異次元空間のような展開は
なんともいえず、引き込まれます。

「奇譚」とは不思議な話ということのようだけど
怖い夢とでも言った方がいいかもしれない。
脳みそチュウチュウは、
映画の「スターシップ・トゥルーパーズ」を連想したけど、
そこまでグロではありません。
単なる脅し文句なんでしょう。

短編で読みやすいし、
著者の長編にお疲れの方にはお勧めです。
特に、本書は挿絵が迫力があっていい。
心の底の闇を挿絵と一緒に味わってください。


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図書館奇譚
村上春樹
新潮社 2014年

2019年3月10日日曜日

読了メモ「小鳥がうたう、私もうたう。静かな空に響くから」 カヒミ カリィ



読了。

彼女がミュージシャン、歌手であることを知らなかった。
有名なTVアニメの主題歌も歌っていました。
ハスキーな声が逆に自然な感じがしてとても素敵です。


本書を手に取ったのは、
装丁の雰囲気がとても柔らかなナチュラルな感じで
荒んだ心を癒してくれそうな感じがしたから。

穏やかな心があって
そばに寄り添う人がいるってことはとても
大切なことなんだと、尊いことなんだと
なんだか柄にもないことを書いてしまうのです。

ちなみに、彼女の居場所は台所だそうです。
勉強は自ら学びたいことを選んで学ぶ時が面白い。
学歴や試験のためは、それはそれなりの意味はあるが
効率的には前者の方がはるかにいい。
そうやって、栄養バランスのある献立を考えるのは
とても楽しい勉強のようです。

本書の後半には、私の憧れの人というタイトルで
数人の方が紹介されています。
その中で、自身の母親を早くに亡くし
そのショックで電車に投身自殺を図った女性が出てきます。
後遺症はひどく、四肢も不自由です。
それでも、笑顔を絶やさず、逆に著者を励ましてくれている。
他にも、レイチェル・カーソンさんや桐島洋子さんなどが紹介されています。



では、冒頭にも書きました人気TVアニメの主題歌をどうぞ。
ポンポコリンじゃないんだよ。



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小鳥がうたう、私もうたう。静かな空に響くから
カヒミ  カリィ
主婦と生活社 2012年



2019年3月3日日曜日

読了メモ「言の葉の庭」 新海 誠



読了。

数年前に、DVDだけど
アニメーション映画で観たことがある。
静かな雨が降っている中にたたずむ
とある公園内の東屋の下で
会話をしている少年と女性の映像が印象的だった。

ストーリーは、とうに忘れてしまっていたので
今回、本書に巡り合って、その全貌が明らかになったよ。


もちろん、ラブストーリーです。
登場人物全てにいろいろな相方がいて
その誰もが個性的で、お互いの関係を大切にしている。
ふられてひりぼっちになってしまう人もいるけれど。

そんな時や、二人の気持ちを象徴的に表現する手段として
各章の末尾のページに、万葉集の一句が添えられている。
古典が苦手な私のような読者のために
簡単な訳と解説もついているので安心。


主人公の少年と女性は年齢がちょっと離れていて
最後はどうなるんだろうと、
お決まりのやきもきさせるところもあります。


少年は、海外に何年か留学して
とある技術をしっかり身につけて帰ってきます。
その技術の実ったものを彼女に届けたくて
雨降りの東屋に行くのですが
果たして、会う約束もしていなかったのに
彼女はそこにいたりするわけで、
ちょっと出来すぎじゃないかという感じはすれど
まぁ、そこは一人ではにかんじゃってください。


アニメーション映画のストーリーを忘れてしまっていたので
本書を読む方をお勧めするけれど、あの雨雫がしたたる
東屋の雰囲気、時折みせる小雨の木漏れ日の具合なんかは
映像をみると二人の雰囲気をぐっと身近に感じます。
それははっきり覚えています。

ということで、結局、両方とも観て読んではいかがでょうか。


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言の葉の庭
新海 誠
KADOKAWA   2014年






2019年2月24日日曜日

読了メモ「虹の岬の喫茶店」 森沢明夫




読了。

映画になっていたらしい。
主人公の悦子さん役は、吉永小百合さんだ。

自分はこの映画をまだ観たことがない。
悦子さんは、おばあさんというには年をとりすぎだし
おばさんというには若すぎる
そんなイメージを持った。

岬の喫茶店には、いろいろな人が訪れる。
といっても全くお客さんが来ない日が多いだろう。
でも、しっかりとお客さんを店内まで案内してくれる犬がいる。

妻を早くして無くした夫と、まだ小さい娘。
ガス欠して、バイクを押してやってきたライダー
仕事がなくなり、泥棒に入ってきた包丁研ぎ職人
昔の仲間と再びバンドをやろうと喫茶店の隣に
ライブハウスを建てる甥っ子。
密かに悦子さんに想いを寄せているが転勤で離れていく人。
そして、岬を直撃する台風。

店内には、レコードとCDがぎっしりあって、
それぞれのお話にあうような曲が流れてくる。
選曲はもちろん悦子さんだ。
その悦子さんの入れる珈琲がとても美味しいらしい。
飲めないのが残念でならない。


店内には一つの絵がある。
虹の絵。
悦子さんはいつもこの絵を見ながら
お店の窓から海の遠くを見ている。
いつも夕焼け時に、虹を探して海を眺めていたが
台風一過の朝焼けの美しさにあらためて気づく。
傾いた絵を元どおりに直す。
もしかしたら、もうお店は閉店するかもしれない。

悦子さんとお客さんたちとの会話や仕草、
気持ちの通じ合いがとっても優しい小説です。

よろしければぜひ。

=====================
虹の岬の喫茶店
森沢明夫
幻冬社 2011年






2019年2月18日月曜日

読了メモ「オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史」オリバー・ストーン&ピーター・カズニック



読了。

ふぅ〜。年明けから相当ヘビーなものを読んでしまった。

1巻目が「二つの世界大戦と原爆投下」本文370ページ
2巻目が「ケネディと世界存亡の危機」本文398ページ
3巻目が「帝国の緩やかな黄昏」本文446ページ


オリバー・ストーン監督らが、現代アメリカ史の裏を暴いたって感じなんだろうけど、
サザンが歌っているように、学校ではまず、現代世界史は学習しないし、
テレビ特集やニュースで見聞きするのがせいぜいなところ。
なので、こういうの読んでしまうと、もうなんなんだろうって感じ。

アメリカってすごいことを起こしてきた国だと思う。
軍拡と権力と金とが、思惑とそれこそ大きな力で
動いていくその動勢は、読んでいて気味が悪いくらいになってしまう。
逆に冷戦を収束に向けて動いたゴルバチョフなんかの方が印象に残っているし、
レーガンの呆れた外交や、ブッシュの徹底した軍拡路線は鳥肌が立つ。

大統領としては、ギリギリでバラク・オバマまでなので
現職は出てこないけど、しっかりとアメリカ政治の現在の伏線を
確実に押さえて書き込まれています。もちろん対中国についてです。


どうかお願いだから、核のボタンをどの国も押さないでくれ。
武器輸出をして撃ち合いするなんて馬鹿げたことはやめてくれ。
一箇所でも火がついたら、もう地球は終わってしまう。
広島の何発分かなんて、比較して論じても意味のないレベルにきている。
真剣にそう思う話です。

で、この本を読んだ後に観てみたくなった映画は
「ザ・デイ・アフター」と「プラトーン」かな。

こういう本は日本では出ないだろうなぁ。
固有名詞や媒体名がバリバリ出てるし
当たり前だけど、伏せ字なんてないからね。

===================
オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史
オリバー・ストーン&ピーター・カズニック
大田直子/鍛原多恵子/梶山あゆみ/高橋璃子/吉田三知世/
熊谷玲美/小坂恵理/関根光宏/田沢恭子/桃井緑美子/
金子 浩/柴田裕之/夏目 大 訳
早川書房 2013年