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2019年12月25日水曜日

読了メモ「明日の明日の夢の果て」 小松左京



読了。

著者の小松左京といえば、
「日本沈没」があまりにも有名ですが、
短編SFも人間社会の未来に警告を発する
お話がいくつかあります。

本書は、1972年出版なので
時代背景的には、もはや古めかしいのですけれど
当時から、こんな視点、切り口で
作品を書いていたのはやはり驚きではあります。

まさにこれから本格化しようとしている
キャッシュレス時代を描いた
「プライベート・マネー」
キャッシュレスは全てのお金の流れがコンピュータで
捕まえられてしまうので、キャッシュを使えば
誰にも文句を言われないというお話。

唾液と血液で個人認証するクレジットカードが
実は、自分の魂、果ては家族の魂までもを
担保にしているという悪魔の操る
「黒いクレジットカード」

タイトルにもなっている
「明日の明日の夢の果て」では
縄文時代で栄養失調で死にそうなお爺さんが
夢を見るたびに、自分の子孫の未来の時代に
タイムスリップしていき、世の中は
豊かになり、争い事もなくなってきているけれど
自分の居場所がないことを悟り
森の中でロボットに連れられて
息を引き取るというなんともやりきれないお話。


人間相手ではセックスができなくなってしまう
エロいお話もあったりして
それは、ここでは省きますが、
人間のエゴというか
人間ってつくづく勝手な生き物なんだなぁ
と切なくなるお話ばかりです。


新年を良き年とし、少しでも人間らしく
生きていくためにいかがでしょうか。

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明日の明日の夢の果て
小松左京
角川書店 1972年

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