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2024年7月29日月曜日

読了メモ「バナナ剥きには最適の日々」 円城 塔

 

読了。

相変わらず朝の霧の中を歩いているようなわからない話ばかりだった。

それでもついつい手を伸ばしてしまう。結局、面白いのだ。


自分もわけがわからなくなってしまうが、

立場が違えば見方が違ってくるよねとよく言うけれど、結局同じことなんじゃないか。

物事を立体的にみると不思議と道理が通ったりもするし。


例えば、「ないはないはないってこと」ということは、

ないということがあるとも言えるのではないかとか考えてしまう。

また、バナナは3枚皮で剥くか4枚皮で剥くかは、

バナナにはわからないという話を

宇宙人であるバナナ星人の視点で考えてみたりする。


話のタイトルからして読者に挑戦してくる作品もあった。

小説のタイトルと作者名が表記されているのだが、

どっちがタイトルで、どっちが作者名かは、どこにも明記されていない。

もしかしたら本文も含めて、どれがどれを書き表しているのだろうかという話。

つまり、文を読まれる作り手側の者は文章を作成しているわけだが、

読む者も相互に文章を作成しているという見方。

しかも読む者は無意識のうちにこれを行っている。

これをここでは自動生成と呼んでいた。


他にも、分裂して増殖するゾウリムシは輪廻の思想を持つのだろうかとか、

傷だらけの自分の背中が目の前に見えたりとか、

あなたの見ている彼女の見ているあなたの見ている彼女の見ているあなたでは、

もう人間の情報処理系が追随できないこととか。

異星人が地球にいまだにメッセージを送ってこないのは、

実は人間そのものがメッセージなのだという発想の転換。


こんなわからないけどおもしろい話が満載です。



以下はAmazonへのリンクです。

 円城 塔
 早川書房 2014年


2021年5月28日金曜日

読了メモ「天体議会」長野まゆみ




読了。

なんの影響か、なにが要因かわからないが、
ちょっとここのところ、幻想的な小説にあたり続けている。

今回も五章からなるSFファンタジー小説。
イラストも著者の長野まゆみさんが描いている。

不思議な小説だ。
宮沢賢治とファイナルファンタジーの世界を
掛け合わせたような世界観とでも表現したらいいだろうか。
銅貨、藍生、水蓮、烏貝、旗幟。。。
出てくる登場人物は、このような奇妙な名前ばかり。
そして、自動人形という謎の美少年。
全員、少年。
女の子は一人も出てこない。

表現や描写も飛んでいる。
例えば、

「アルミニウム青銅の美しい黄金いろをした機体」

「彼の指は白磁でできた人形の指そっくりで、どれも細く、
 透徹るような乳白色をしていた」

ここでは「黄金」を「きん」、「白磁」を「びすく」と
ルビをふって読ませている。

同様に「母」は「バービィ」、「檸檬」は「シトロン」。
移動には、「自動車(ミシュリン)」よりも
「蝶凧(パピイ)」という乗り物を使うという。

とにかく、独特で創造的な冒険の世界にどっぷりと浸ることができるが
没入するには、自分は少々時間がかかった。
それに、どこかBL的な雰囲気が遠くの方でしないでもない。

幻想的な世界に入ってみたい方には
一度、ページをめくってみてはいかがだろうか。

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天体議会
長野まゆみ
河出書房新社 1991年

※本書は絶版のようです。