読了。
「柳湯の事件」
「途上」
「私」
「白昼鬼語」
の4編からなる。
いずれも短編だが存分に楽しい。
なにせ、あの江戸川乱歩が影響を受け、
アガサクリスティの数年先をゆく作風であったりもするわけで。
実際、本書を読むきっかけとなったのは
江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」に二話目の「途上」が引用されていたから。
いずれの作品も、その世界に引き摺り込まれていくように読んでしまう。
精神が異常とも思える人物たちやその妄想、
探偵に問い詰められ切羽つまる心持ちや
独特の妖艶な佇まいを醸し出す描写にとっぷりと浸り込んでしまう。
そして、凄惨な殺人現場かと思いきや、実は、、、というのも面白い。
ミステリーは、そのトリックや謎解き推理を楽しむ向きが多いと思うが
この谷崎潤一郎の怪しい世界を覗き見するのも一興というものです。
おすすめです。是非!!
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谷崎潤一郎
集英社 2020年