読了。
一人の作家の作品がコンパクトにまとまっている
この「ちくま日本文学」シリーズ。
実は初めてだったがとてもよかった。
まだいくつか積んであるので楽しみである。
Just a little happiness with books
一人の作家の作品がコンパクトにまとまっている
この「ちくま日本文学」シリーズ。
実は初めてだったがとてもよかった。
まだいくつか積んであるので楽しみである。
30歳前後で結婚2〜3年であろう夫婦のエッセイ。
書き手は、詩人で国語教室を主宰している奥様。
なんとも微笑ましい。
日々日常の些細な所作の一つ一つに二人は解釈を加え、
その度に二人の言い分は食い違う。
二人は全くの他人だから、今後のことを予測してもしようがない。
これまでがこの先も続くほうに覚悟を決めて賭けてみるという。
こうしてお互いの信頼が築かれていく。
とても仲の良い二人であることがよくわかる。
文章の表現や言葉の選び方が背伸びをせずに等身大で
素直に口を出てきた感じがして好感が持てる。
読んでいるとなぜかTARAKOさんの声が聞こえてきそうな感じがする。
エッセイの合間には、詩も挿入されており
これらの普通な空気感もとてもいい。
身近な感覚でどことなく懐かしい感覚さえおぼえたりするところもある。
「いちばんふつうの家のカレーが好きなんだよね」
では、食事に愛を込める云々という話と
料理にいろいろ工夫をこめて最高の味になった話の
微妙な感覚のズレが面白かったし、
「熱が出ると」
という詩などは、臨場感もあって
読んでる側の手が熱くなる感じを覚えるほど。
自分が同じ年齢だった頃はどうだったかな。。。
ふと思い出そうとしちゃいました。
おりしも、オッペンハイマー博士の映画を鑑賞し
テレビで下山事件の特集番組を観たが
本書の時代背景と共通する大きなうねりがあると感じた。
それは一体なんだろうか。。。
なお、本書の原題は下記の通りで
米国でも数々の賞を受賞したノンフィクションなのでした。
EMBRACING DEFEAT
Japan in the Wake of World War II
1)「告白」
町田 康
中央公論新社 2005年
読了日:2024年3月11日
・河内弁のボケとツッコミは読み出したら笑いが止まらない。
主人公の葛藤に読者の心は揺さぶられる。
柊 サナカ
宝島社 2023年
読了日:2024年3月13日
・大崎駅始発のJR山手線内回りのショートショート集。
お話と各駅との関連性はそれほど深くはないかな。
3)「銀河の片隅で科学夜話 物理学者が語る、すばらしく不思議で美しいこの世界の小さな驚異」
全 卓樹
朝日出版社 2021年
読了日:2024年3月14日
・天空、原子、数理社会、倫理、生命をテーマにした科学コラム。
民主主義の意思決定を世論力学で解く見方は面白い。
多数決は必ずしも正ではない。
川上未映子
講談社 2023年
読了日:2024年3月14日
・川上さんのぶっ飛び小説。歯科の診察台を舌にみたてる感性に目が点。
関西弁が小気味良いリズム。
谷崎潤一郎
集英社 2020年
読了日:2024年3月18日
・四つの犯罪短編小説。どれも面白い!
江戸川乱歩が影響を受けたくらいなんだから。
湯川秀樹
平凡社 2022年
読了日:2024年3月23日
・サブタイトルが象徴的な湯川博士の執筆時年齢も併記されたエッセイ。
文学/哲学と科学は、途中のプロセスこそ違うが
目指すは同じという観点に感服。
読了。
「柳湯の事件」
「途上」
「私」
「白昼鬼語」
の4編からなる。
いずれも短編だが存分に楽しい。
なにせ、あの江戸川乱歩が影響を受け、
アガサクリスティの数年先をゆく作風であったりもするわけで。
実際、本書を読むきっかけとなったのは
江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」に二話目の「途上」が引用されていたから。
いずれの作品も、その世界に引き摺り込まれていくように読んでしまう。
精神が異常とも思える人物たちやその妄想、
探偵に問い詰められ切羽つまる心持ちや
独特の妖艶な佇まいを醸し出す描写にとっぷりと浸り込んでしまう。
そして、凄惨な殺人現場かと思いきや、実は、、、というのも面白い。
ミステリーは、そのトリックや謎解き推理を楽しむ向きが多いと思うが
この谷崎潤一郎の怪しい世界を覗き見するのも一興というものです。
おすすめです。是非!!
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谷崎潤一郎
集英社 2020年
読了。
約680ページの長編。準鈍器本か。
「河内十人斬り」という史実に基づいた小説で、
ガチガチなハードな内容かと思っていたら
会話は全て河内弁、地の文もそれが混じり
ツッコミとボケが展開されて笑いだしてしまうほど。
主人公の城戸熊太郎は、喧嘩上等の博奕打ちで
本当にどうしようもなく、村でも手がつけられない極道者。
ただ、その熊太郎の心の声が丁寧に語られており、
騒ぎを起こしていることとは裏腹に、
相手のことを慮りながらも、
思い通りにできない苦しさ、歯がゆさが
読者の心をゆさぶる。
自分はなぜこんなに暴れてしまうのか。
敗けて銭がなくなるのに、なぜ博奕を続けるのか。
愛するあの人は神仏なのではないか。
心と実際の言動が一致しなくてもどかしい。
そして、最後の一言でやっと熊太郎の思いと行動は一致します。
河内弁の表記が自分には読みづらくはあったものの、
熊太郎の世界に引きづり込まれるように読んでしまった。
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