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2021年7月8日木曜日

読了メモ「東京奇譚集」村上春樹


読了。

村上さんの短編集です。
奇譚集ということは、不思議な話、ちょっと怪しい話というところでしょうか。
村上さんの長編小説は苦手という方も読みやすいと思います。

お話は五つ。
 1)偶然の旅人
 2)ハナレイ・ベイ
 3)どこであれそれが見つかりそうな場所で
 4)日々移動する腎臓のかたちをした石
 5)品川猿

1)は、書店のカフェで偶然出会った女性の運命と、
自分の姉の病気が重なる話。姉の命は助かるが、
カフェの女性の行方は不明。

2)は、サーフィン中に鮫に襲われて死亡した息子のため
ハワイに行く母親。自然の摂理と戦争の犠牲が対比される情景。
そして、謎の片足の日本人サーファー。

3)は、夫が突然蒸発。マンションの下の階に住む
義母のところへ行ったきり帰ってこない。
マンションの階段で住人と交わすも手がかりはなし。

4)は、主人公は小説家で女医の話を書いている。
彼女は腎臓の形をした石を見つけ文鎮がわりに使うが、
昨日に置いた場所とは違った場所に、次の日には石がある。

5)は、自分の名前を忘れてしまう女。学生時代の寮で一緒だった
下級生から預かった名札。自分の名札と一緒にずっと持ったいた。
ところが、それを盗んだ奴がいる。


とまぁ、こんな感じの話が入っています。
不思議なありえない話ばかりなのですが、
どこかで起きていそうな感じもしなくはない
妙な雰囲気が醸し出されています。

いくつものできごとが次々に発生してくるのは
いつもの村上流ですけれど、
ゆる〜く、主人公の感情と絡みついてくる感覚は
なんともいえませんね。

5)の 品川猿 は飛び抜けちゃってますが、
最後にくすっと笑える要素があって
本書の締めにはよい作品だったかな。

村上さんのファンである方も、そうでない方も是非。

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東京奇譚集
村上春樹
新潮社 2005年

※文庫本でのご案内です。

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