完全二足歩行をする動物とは?
もちろん、ヒトです。
ただ、地球上にはもう一種類います。
本書の主役となるトリです。
自分も、読んでそう言われるまで気がつきませんでした。
チンパンジーやカンガルーも二足歩行はしますが
前足を使って歩くことがありますので除外されます。
トリは翼を使って空を飛びますが、歩く時は後ろ足二本だけです。
ダチョウにいたっては、時速70キロ近いスピードで走ります。
街中にいるスズメはホッピングすることが多いですが、
カラスは見事に歩き回る姿をよく見ることができます。
さて、読み進めていくうちに核心部分が迫ってきます。
ハトはなぜ首を振って歩くのか。
実は、首を振って歩いているように見えるだけで
頭は静止しているというのです!!
ちなみに、田舎に帰った時や、小学校のニワトリ小屋で
ニワトリを捕まえた時、ニワトリを前後に動かすと
頭が止まっていたように見えたのを覚えていませんか。
以下、引用します。
ハトが歩くと、体はおおむね一定の速度前進する。
体が前進しているのに頭を静止させるためには、
首を曲げて縮めなければならない。
首をある程度まで縮めると、
今度は首を一気に伸ばして頭を前進させる。
この動作の繰り返しが、歩行時の首振りの実態だったのである。
(P41)
次に、なぜハトは頭を静止させようとするのかという疑問です。
答えは、景色を目で追っているから。
ハトの目は顔の横についているので
流れる景色を見るためには、頭を一瞬でも静止させる必要があるのです。
本書の命題の主な解答は以上ですが
もちろんこれで、謎が全て解決したわけではありません。
首を動かす代わりに、ヒトと同じく
目玉をキョロキョロさせればよいではないか。
首振りのタイミングと歩行との関係は。
カモやカモメなどはなぜ首振りをしないのか。
足の長いフラミンゴやサギなどは首を振るのか。
トリの祖先である恐竜は首を振って歩いていたのか。
などなど。
ハトがなぜ首を振って歩くのか、
なんと些細で、気にも止めない事象かもしれませんが、
こんなところから科学って発展していくのでしょうね。
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ハトはなぜ首を振って歩くのか
藤田祐樹
岩波書店 2015年
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