読了。
「国境の南、太陽の西」
村上春樹
講談社 1992年10月
久しぶりに春樹さんの本。まったくもっての不倫の話。春樹さんの小説については、好き嫌いがわかれるという話をよく聞くが、もしかしたらこのような作品が分水嶺になっているかもしれないと思った。確かに、読んでいて主人公ってやつはずいぶんと自分に都合のよい勝手なやつだなぁと思ったものだ。かと思いきやこんな一言を呟いたりする。
「まずまずの素晴らしいものを求めて何かにのめり込む人間はいない。
九の外れがあっても、一の至高体験を求めて人間は何かに向かっていくんだ。
そして、それが世界を動かしていくんだ。」(p146)
こういう少々キザなセリフが、いかにも鼻をつくのだけれど、言っている中身は至極真っ当だったりする。でもね、どんなに綺麗なことを言っていても、やっぱり不倫はいかんと思います。