読了。
著者は写真家である。
写真家ならではの、彼女の感性ならではの
13の短編小説集。
エッセイという人もいるけど、小説だと思う。
本のタイトルにもなっている「背中の記憶」
男性、特に父親を想像するかもしれない。
でもここでは違う。
大好きだったおばあちゃんの背中だ。
厳しい曾祖父母に育てられた祖母は、
著者に大変優しく、貧しかった自分の時代を
償うかのように、著者の好きそうな服やお菓子を与えてくれた。
遊びから帰ってくると
タバコを吸いながらつまらないテレビを見ていると思えば
アイスがあるよと声をかけてくれる。
引っ越すことになって、祖母と別居することになっても
毎週のように祖母の家に通っていたそうだ。
そして、病院での死別、そのあとの祖母への思い。
続いて、保育園での寂しさを綴った「かたつむりの涙」、
母のお腹の中にいた時から可愛がっている「おとうと」、
そして、団地友達との中でいつのまにか咲いた「はつこい」など。
一連の小説は著者の子供時代を通じた家族の物語で
写真家という視点からみた情景描写がやわらかくてとてもいい。
そして、最後にもう一度おばあちゃんが出て来てくれます。
お花の写真を撮るのです。
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背中の記憶
長島有里枝講談社 2009年
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