読了。
文章を書くための大学生向け講義をまとめた勉強本です。
良い文章を書くためには、読むことも大切と言われていますが、
その比率はどのくらいでしょうか。
本書によれば、読むことが六、書くことが四だそうです。
まずは、小学生の作文を例にあげて解説していく。
大学生には、まずはこの小学生くらいには書けて欲しいという。
例にあがっているのは、海水浴の作文だが、
とてもシンプルであり、海水浴の楽しい情景が目に浮かんでくる。
が、はたもすると、何時に起きて、お弁当は何で、
どこを車で走って、何時に着いて、誰と会って、
ややもすると、海洋汚染とか海面上昇とか、地球を守らなきゃ。。。。
と頭の中がパンクしそうになってくる。
そう、小学生の作文には字数制限があるのが普通だ。
このブログのようにダラダラと書き連ねていくものではない。
何を書くかということは、何を書かないかということ。
次に学生たちに「二〇〇〇年間で最大の発明は何か」という問いで
作文を書かせる。字数は無制限だ。
提出された作文を一つ一つ取り上げて解説してくれる。
これが自分にとっても大変良い勉強になった。
学生のみなさんどうもありがとう。
例えば、日本人は物事を抽象的に考えるのが苦手のようです。
抽象的な話は理屈であり、
理屈は中身がない空虚なものと思ってしまうそうだ。
しかし、理屈は理論であって、理屈や理論なくしては
ものごとを結論に結びつけることはできない。
もっというと、ストーリーとして筋が通っているとか言うけれど
文章の筋を通すとは、論理的であるということなんです。
理屈っぽいっとか嫌われるけれど、
納得してもらうには大切なことなんです。
そして、文章を書く前には考察が必要。
「文章の作り方」=「物事の考え方」だそうである。
このことを、小説、エッセイ、ノンフィクションなど
さまざまな文章を取り上げて解説してくれている。
偏食があると健康に良くないが、文章を書くためにも
さまざまな分野の文章を読むことが大切だと
自分は背中を押されたようで大変嬉しかった。
最後はこんな一文で講義を締め括っている。
書いて、指摘を受け、そのたびごとに傷つくのはやめよう。
文章は自分の充実のために書くもので、
自分のもう一つの実現のために書くものである。(p219)
本書はずいぶんと以前に買って、
ずっと積読状態になっていた。
もっと早く読んでおけば良かったなと。
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縦横無尽の文章レッスン
村田喜代子
朝日新聞出版 2011年
※下記は文庫版でのご案内です。
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