2021年11月13日土曜日

読了メモ「縦横無尽の文章レッスン」村田喜代子



読了。

文章を書くための大学生向け講義をまとめた勉強本です。

良い文章を書くためには、読むことも大切と言われていますが、
その比率はどのくらいでしょうか。
本書によれば、読むことが六、書くことが四だそうです。

まずは、小学生の作文を例にあげて解説していく。
大学生には、まずはこの小学生くらいには書けて欲しいという。
例にあがっているのは、海水浴の作文だが、
とてもシンプルであり、海水浴の楽しい情景が目に浮かんでくる。
が、はたもすると、何時に起きて、お弁当は何で、
どこを車で走って、何時に着いて、誰と会って、
ややもすると、海洋汚染とか海面上昇とか、地球を守らなきゃ。。。。
と頭の中がパンクしそうになってくる。

そう、小学生の作文には字数制限があるのが普通だ。
このブログのようにダラダラと書き連ねていくものではない。
何を書くかということは、何を書かないかということ。

次に学生たちに「二〇〇〇年間で最大の発明は何か」という問いで
作文を書かせる。字数は無制限だ。
提出された作文を一つ一つ取り上げて解説してくれる。
これが自分にとっても大変良い勉強になった。
学生のみなさんどうもありがとう。

例えば、日本人は物事を抽象的に考えるのが苦手のようです。
抽象的な話は理屈であり、
理屈は中身がない空虚なものと思ってしまうそうだ。
しかし、理屈は理論であって、理屈や理論なくしては
ものごとを結論に結びつけることはできない。
もっというと、ストーリーとして筋が通っているとか言うけれど
文章の筋を通すとは、論理的であるということなんです。
理屈っぽいっとか嫌われるけれど、
納得してもらうには大切なことなんです。

そして、文章を書く前には考察が必要。
「文章の作り方」=「物事の考え方」だそうである。
このことを、小説、エッセイ、ノンフィクションなど
さまざまな文章を取り上げて解説してくれている。
偏食があると健康に良くないが、文章を書くためにも
さまざまな分野の文章を読むことが大切だと
自分は背中を押されたようで大変嬉しかった。

最後はこんな一文で講義を締め括っている。

 書いて、指摘を受け、そのたびごとに傷つくのはやめよう。
 文章は自分の充実のために書くもので、
 自分のもう一つの実現のために書くものである。(p219)


本書はずいぶんと以前に買って、
ずっと積読状態になっていた。
もっと早く読んでおけば良かったなと。

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縦横無尽の文章レッスン
村田喜代子
朝日新聞出版 2011年

※下記は文庫版でのご案内です。


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