2021年11月7日日曜日

読了メモ「僕のトルネード戦記」野茂英雄



読了。

彼より以前、メジャーリーグに
チャレンジした選手はもちろんいた。

しかし、実績、彼個人の応援歌ができるほどの人気、
そしてなんといっても、日本人選手の
メジャーリーグへの道の開拓者としての存在は大きい。

以前より読みたい本だったところ
やっとこさ見つけて読むことができた。

当初、日本野球界やマスコミとの葛藤や摩擦の
裏話が載っているのではと半ば期待してた。
でも、それは前書きの二行足らずで書き終えていた。
そんな野次馬妄想を抱いていた自分が恥ずかしくなった。
本書は、野茂英雄という野球選手の野球への熱い思いを綴った一冊でした。

 僕はひとりの野球人であり、
 野茂英雄という一人の人間に過ぎないんです。(p193)

日本プロ野球界の経験至上主義への反発。
世界の選手と試合ができなくなるとプロ入りを拒否したアマチュア選手の存在。
最初は、協定破り、永久追放とか言いながら、
手のひらを返して、野茂の活躍は日本人に勇気を与えたというマスコミ。
そして、チャレンジ精神を前向きに迎え入れてくれるアメリカの風土。

 スタジアムの視線をすべて独り占めするようなピッチングがしてみたい。
 攻めて攻めて、バッターを牛耳るようなピッチングを。
 クレメンスはそれを実践している。
 だから、見るものを引きずり込む魅力があるんです。(p29)

本書の中では朴訥とした言い方で、
自分の言いたいことをうまく言えないと
苦虫を潰している野茂英雄自身がいて、
読んでいてとても親近感も湧きました。

彼が本書で言いたかったことは、
観客を酔わせる、魅せるピッチャーになること。

 「今日は野茂が投げるから見に行きたい」
 とお客さんに思ってもらえたら、
 これほど嬉しいことはありません。(p197)

彼は、日本人野球選手のメジャーリーグへの道の開拓者と同時に
野球が好きであることと、マウンドで好投することの素晴らしさを
本当に大切にしている選手だったんだと思います。

好い本なので、チャンスがあれば是非。

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僕のトルネード戦記
野茂英雄
集英社 1995年

※下記は文庫版でのご案内です。


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