2022年3月20日日曜日

読了メモ「時間とはなんだろう 最新物理学でさぐる「時」の正体」松浦 壮



読了。

とんと縁がなかった物理学の本を読んでみました。
Time is Money.ではないですよ。大喜利じゃないんだから。

結論からいうと、私たちが期待するような
正確な答えが書かれているわけではありません。

自分自身の感覚からすると、地球の公転と自転を組み合わせて
細分化していったのが時間なのかなと漠然と思ってました。

でも、1秒というのは、ちゃんとした定義があるようです。

 「セシウム133原子の基底状態のふたつの超微細構造順位の間の
  遷移に対応する放射の周期の91億9,263万1,770倍」(p20)

なんだそうです。なんのこっちゃですが。

昔から、太陽や月の影で時間を測ったりするだけでなく
ある特定の人が毎日出かけるのをみて何時かを知ったり
腹時計でも時間があらかたわかりますね。

ここで著者は、我々はモノが動いていることを捉えているだけであって
時間そのものをとらえているわけではないということを示しています。
なるほど。つまり、

 「物体の存在とは無関係に「時間」が存在していて、
  物体の運動はその時間に沿って起こる」(p30)

というわけです。

ここから、お話は、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイと
万有引力の法則を導いたアイザック・ニュートンの話につながり
例えば、乗っている電車が動いているのか景色の方が動いているのかなど
相対的に運動をとらえる我々の感覚についての考察が続きます。
そして、私見としながらこう述べています。

 「(私たちは、)メモリーに蓄えられた情報量の一方的な増加を
  時間経過と判定しているのではないか」(p74)


そして、二十世紀に新たな時間の姿を示したのが
アルバート・アインシュタインでした。
なにしろ、動くと時間の流れがゆっくりになるという
衝撃的な事実を示してしまったからです。
逆を言えば、

 「物体は何もしなければ時空の最短ルートを進む」(p133)

ということになりますが
物体には外からさまざまな力が働き
時空が歪むことになります。
では、私たちの周りにはどんな「力」があるのか。
それは、重力と電気・磁気の力であり、これは
原子や電子の特性に由来する力も含まれます。

話は、この先、光子力、量子力学まで及ぶのですが、
私たちが感じている「時間」とは、
空間、物質、あらゆる力、果ては宇宙をも含む
巨大な構造の一部を構成しているようです。

とても、ぼんくらな小生のブログではまとめられないので
ここらあたりでやめておきます。
詳しくは本書で。

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時間とはなんだろう 最新物理学でさぐる「時」の正体
松浦 壮
講談社 2019年

2022年3月9日水曜日

読了メモ「アルケミスト 夢を旅した少年」パウロ・コエーリョ




読了。

著者は、ブラジルの作家。
一方、物語は、スペインのアンダルシア地方から、
エジプトはギザのピラミッドにまたがる
夢見る少年の冒険譚です。

少年の名前はサンチャゴといい、羊飼いを生業としています。
放牧をしながら旅していくことを夢みており、
父親からわずかのお金と羊を元手に旅立ちます。

途中、占い師に会って、エジプト行きを勧められ
セイラムという国の年老いた王様と出会い
自分の運命に気付きます。
エジプトのピラミッドの宝物を目指せというのです。

しかし、エジプトに行くには、広大なサハラ砂漠を
横断しなければなりません。
そのためには、お金が必要です。
途中、騙されて一文なしになったりしますが
それでもサンチャゴは、クリスタルガラスのお店で
一生懸命働き、お金を貯めて、あらためて出発します。

サハラ砂漠を渡るキャラバンのメンバーになり、
進む途中で大きなオアシスにたどり着きます。
そこで、運命的な女性と巡り合い、
また、ここから先の苦難の旅を共にする
勇猛果敢な錬金術師と出逢います。

風と砂と太陽を味方につけて
最後はピラミッドにたどり着くのですが
果たしてサンチャゴは宝物を見つけることができたのか。

少年の冒険物語ですが、人生は過去も未来もなく、
今この時を精一杯生きることの大切さを教えてくれて、
必ずその中に、「前兆」がある。
その前兆を見逃さないようにすれば、
自ずと人生は開けていくというのです。
錬金術師は、鉛から金を創り出すだけでなく、
以前の人生より、更に良くなることを目指し、
常に今の自分より良いものになろうと努力すれば
周りもよくなっていくという話であったり。
そして、夢を追求している時は決して傷つかない。
追求の一瞬一瞬が神との出会いであり
永遠との出会いであるから自信を持てと。
などなど勇気づけられるメッセージが
ふんだんに盛り込まれています。

本文は、文庫本でわずか196ページと薄いですが、
学ぶべき人生の知恵、夢を追い求める勇気、
今を生きることの大切さを読んで感じ取ることができます。

ちょっと時間があいていたら
サンチャゴと一緒に夢見る冒険に出てみてください。

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アルケミスト 夢を旅した少年
パウロ・コエーリョ
山川絋矢/山川亜希子 訳
角川書店 2010年