2024年3月12日火曜日

読了メモ「告白」町田 康


読了。

約680ページの長編。準鈍器本か。

「河内十人斬り」という史実に基づいた小説で、

ガチガチなハードな内容かと思っていたら

会話は全て河内弁、地の文もそれが混じり

ツッコミとボケが展開されて笑いだしてしまうほど。


主人公の城戸熊太郎は、喧嘩上等の博奕打ちで

本当にどうしようもなく、村でも手がつけられない極道者。

ただ、その熊太郎の心の声が丁寧に語られており、

騒ぎを起こしていることとは裏腹に、

相手のことを慮りながらも、

思い通りにできない苦しさ、歯がゆさが

読者の心をゆさぶる。

自分はなぜこんなに暴れてしまうのか。

敗けて銭がなくなるのに、なぜ博奕を続けるのか。

愛するあの人は神仏なのではないか。

心と実際の言動が一致しなくてもどかしい。

そして、最後の一言でやっと熊太郎の思いと行動は一致します。


河内弁の表記が自分には読みづらくはあったものの、

熊太郎の世界に引きづり込まれるように読んでしまった。



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「告白」 町田 康

中央公論新社 2005年


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