2024年9月8日日曜日

読了メモ「仮面の告白」 三島由紀夫

 

読了。

前回、三島さんの作品を読んだのは去年の6月。

その時はエンタメ小説っぽいサスペンス&ミステリーチックな作品だったが、

今回はまたガラリと違う。

半ば自叙伝的なもので、三島さんの生々しい半生を素手で握るような感覚を味わえる。


冒頭、「美」について「カラマーゾフの兄弟」からの引用から始まる。

この冒頭を読みこむだけで本作の異様ともいえる雰囲気に飲み込まれてしまう。

本編のお話は、幼少期から青年期までのタイトル通りの「告白」、

あるいは「吐露」ともいえる。


幼い頃からの父母と別れた生活、同級生への倒錯した感情、

強靭な肉体への憧憬と嫉妬、異性に対する感覚のズレ、

運命の女性との出会いと執着心、戦争での死の教義、そして絶望的な苦しみ。

一人の青年の暗澹で戸惑い迷う生き方を

ここまで読んでしまっていいのだろうかと思うくらいだった。

それに、そんな心の蠢きを表現している描写が素晴らしい。

えっ、こう書くのかぁ。。と唸ってしまうところがいくつもあった。


三島さんは1970年の45歳の時に市ヶ谷駐屯地で自決するわけですが、

この作品が書かれた1949年、当時24歳の時に、

三島さんの心と体の中に自決に関する朧げなイメージというか、

ぼんやりとした霧のようなものがあったのではないかと思わせられる。

読み終えてあらためてそう感じられるのは自分だけではないと思います。

いかがでしょうか。



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 三島由紀夫
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