2017年11月26日日曜日

読了メモ 「ラーメンの語られざる歴史 世界的なラーメンブームは日本の政治危機から生まれた」 ジョージ・ソルト



読了。

前書に続いて「食」に関する本だけど
趣向も内容も全然違う。
日本のラーメンの歴史を外国人が書いている。

日本で最初にラーメンを食べたのは、徳川光圀公とあった。
天下の副将軍が日本で食べ始めたこのメニューが、
その後、国内の労働者、若者たちのエネルギー源となっていくのだ。

当初、「支那ソバ」と呼ばれていたラーメン。
のちに「中華そば」と名前を変えていくが、
その途中にあったのは第二次世界大戦である。
大量のアメリカ産小麦の国内への支給による
米国の食料政策のプレッシャーと都市に広がる闇市の波にのって、
ラーメンは瞬く間に若年層の主食となっていく。

本書はそんな歴史を綴りながら、
全体の3分の1近くを割いて
ある種の特別なラーメンの話を掘り下げている。
日清食品をはじめとした
インスタントラーメンの話である。
ただ、ここにもアメリカ製輸入小麦を
いかにインスタントラーメン化するかの話が
厚生労働省の記録に残っていたりするのも複雑な思いがする。

カップヌードルを全国民の目に焼き付けたのが
野営する自衛官が食べていた浅間山荘事件であったり
一方で、「中華三昧」や「楊夫人」「中華飯店」などの
高級中華料理をイメージしてインスタントラーメンを
売り込んでいたことを懐かしく思い出した。




今でこそ、こだわりの職人や師匠ともよばれそうな
強面の主人が作るラーメン屋に行列ができている。
材料にも国内産にこだわり本書に登場するようなラーメンではもはやない。

自分の家の近所のラーメン屋のスープもみんな濁っている。
子どもの頃よく父親と食べた、薄い醤油味で、茹でたホウレンソウがのっていて
シナチクとナルトの入っていた屋台のラーメンが食べたいのだが、
そのようなラーメンにはめっきりおめにかかれなくなってしまった。

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ラーメンの語られざる歴史 世界的なラーメンブームは日本の政治危機から生まれた
ジョージ・ソルト(野下祥子 訳)
国書刊行会








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