2018年5月31日木曜日

読了メモ「ダンス・ダンス・ダンス」村上春樹



読了。

懐かしいですか? そうかもしれませんね。

なんつうか浮世離れした架空の話。小説だからいいのか。
唯一、社会的なのはメガネをかけたユミヨシさんだけかな。
ちょうどバブルが弾ける直前の頃の作品とはいえ
こうも世界が違うと、小説というよりも
夢か幻想を読み流しているみたい。

電話がダイヤル式で、もちろん携帯はない。
途中で予定が変更になっても、電話が通じなければどうにもならない。
アナログな時代だから、リニアにクロノロジカルに
時は進むと思えば、人間は一瞬にして年を取るんだそうな。

そんな中で、ぐるぐるとまるで踊るように人に会い
渡り歩いて、最後に思っていた人と再会することができる。
ハッピーエンドなのではないか。
まさに、踊っているというタイトルにつながるのか。

ただ、その途中で出会う人々、そして例によって羊と鼠がこの世を去る。
一方、あの生意気な少女のユキはどうなるのか。
母親や辻堂の父親との関係は修復しないままなのだろう。
そういう意味ではハッピーではない。
もう主人公とも関係ない人生となるのだろう。


雪かきの話がなんどか出てきます。
雪かきそのものは大事な行為だけれど
全ての雪かきのパターンを理解するのは
自分にはちょっとハードルは高い。
頭が固くなってしまったのか、人生経験がうすっぺらいのか。

一人で立ち回っている話なので話は理解しやすい。
そのかわり他の登場人物が、ほとんどぶっとんでいるけれど。

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ダンス・ダンス・ダンス
村上春樹
講談社 1988年



2018年5月26日土曜日

読了メモ「床下の小人たち」 メアリー・ノートン



読了。

お察しの通り、ジブリのアニメ
「借りぐらしのアリエッティ」の原作です。

小人たちはみな人間の家の床下に住んでいる
と思いがちですが、必ずしもそうではありません。
草原や、アナグマの巣の中、洞穴の中なども多く、
人間の家の床下で生活できる「家族」は限られているようです。

人間の生活道具の一部を
こっそり借りてきて、床下にリビングや寝室を作り
灯もとれるわけですから、快適そのもの。
しかし、その姿を人間に「見られたら」もうその生活は終わりです。

アリエッティが出会ってしまったその家の少年は
冷静で彼女たちのことを理解してはくれましたが
アリエッティの父親のポッドをみた人間はそうはいきません。
床板をこじ開けて小人たちの部屋をバラバラにしてしまうのです。


本作は、小人たちの冒険のほんの始まりにすぎません。
アリエッティ一家は、この後、この人間の家を離れ
草原に出て、すみかを探し、新しい生活を始めることになります。

作中、アリエッティは人間のこと、つまり少年のことを
擁護しますが、ポッドはそれを否定します。
人間がどんな約束をしてくれたところで
いいことをされたためしがないというのです。
ちょっと、心が痛みました。

床下から床上に這い上がって
大きな時計の下の穴に出てくるまでの様子はドキドキします。
外に出た時の開放感、床下とは違った陽の光の強さ、
希望と期待と緊張。
そういう感覚をいつまでも忘れないでいたいなと思うお話でした。

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床下の小人たち
メアリー・ノートン
林 容吉 訳
岩波書店 2010年



2018年5月20日日曜日

今年も大盛況!ブックカーニバル in カマクラ2018



今年もブックカーニバル in  カマクラ2018 は大盛況でした。

たくさんのお客様にバリエンにもお越しいただきました。
ありがとうございました。
自分が読んだ本を通じて、
いろいろなお客様とお話しをさせていただきました。

あーこれも面白そう、これもこれもと
気になる本を山積みにしていく女性、精算中に更に一冊追加。
思い出のマーニーの原作と先日亡くなられた加古里子さんの本を
離さない小学生の女の子に、本当にちゃんと読めるの?と笑顔のお母さん。
座り込んでいるお客様の後ろの方から、「夜と霧」下さい!と指名買いされたり、
例のホラー本は仲間内へお嫁に行きました。

そんなこんなで、なんとカバンが一つ空っぽに!

身体の具合を気づかっていただいた実行委員の皆様、
それぞれに特色のある面白い各店主の皆さん、
そして笑顔で来場されて、本を見て触って話をして下さり、
お買い上げもしていただいたお客様の方々に本当に感謝を申し上げます。





古本市の後は大人の朗読会を聴きました。
実はブックカーニバル初回からあるこのコーナー。
聴くのはなんだかんだで初めてだったので
とっても楽しみにしていました。
題材は澁澤龍彦の「ねむり姫」で、
期待通りの素晴らしさでした。感動です。


去年の打ち上げは身体の調子が今ひとつでドタキャンだったのですが
今年はフルに参加させていただきました。これはこれでとても励みになりました。

また、一年たくさん本を読んで来年もできれば参加したいと思っています。


最後の写真は、いただいたパンフと栞、缶バッジに、
恒例で楽しみにしている ちのり文庫さん怪談パズル「うきうき新居編」です。
さて、パズル、やってみるかなw









2018年5月13日日曜日

ブックカーニバル in カマクラ 2018 今年も出店します。



またまた、告知のお知らせが間近になってすみません。

今年も、ブックカーニバル in カマクラ2018 が開催されます。
で、はたまた性懲りも無く、身体に鞭を打ち
屋号「バリエン」で出店いたします。
場所は第一会場の由比ヶ浜公会堂の2階です。

御用とお急ぎでないお方、
鎌倉がアジサイで大混雑になる前に
ちらっとお越しになりませんか。

ブックカーニバル in カマクラ2018
期日;2018年5月19日(土)
時間:10時〜夕方(古本市は16時迄)
場所:第一会場:由比ヶ浜公会堂(由比ヶ浜2-7-21)←Rinは第一会場に出店します。
   第二会場:Garden & space くるくる(由比ヶ浜2-7-12)



2018年5月4日金曜日

読了メモ「子どもたちのマジックアワー」川本三郎




読了。

マジックアワーってご存知ですか。
太陽の沈んだあと完全に真っ暗になるまでの20分間くらいの時間。
その光がもっとも美しいそうです。

自分が子どもの頃は、母親の作る夕ご飯目指して
遊び仲間と別れたはいいけれど、ちょっと遅くなってしまって
家に走って帰っている時間でしょうか。


本書では、文学や映画などフィクションを通じて描かれる子どもたちを
さまざまな視点からみています。
無垢で清らかで、ときには神々しささえ投じられることもあれば
かたや、凶や不吉、親を捨てることさえありうる。

前半は、子ども対親だけではなく、子どもと他人や
子どもと飛行機や戦争などの話を通して
子どもが自由になり、それが恐怖や死につながり、
神の存在にまで結びついていくことが示されています。
そう言われてみれば、子どもを怖いと感じたことは
一度もなかったかと思うとそうも言い切れません。

後半は、具体的な演劇やアニメ、文学を実例にあげて
星を見上げて夢を語ったり、肉親を失い死に向き合ったりする
子どもたちが取り上げられています。

けれど、これらは、すべて大人が作った子どもの話。
子どもたちは何をどう本当に感じているのか。
すでに大人になってしまった私たちにはもうわからない。

子どもたちと話し接する機会が少なくなってしまい
文学や映画の中の子どもをみることばかりになってしまいましたが
フィクションの中ではなく、実際の子どもの気持ちに
少しでも寄り添えてあげられる大人になれたらと思いました。

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子どもたちのマジックアワー
川本三郎
新曜社 1990年