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2018年5月26日土曜日

読了メモ「床下の小人たち」 メアリー・ノートン



読了。

お察しの通り、ジブリのアニメ
「借りぐらしのアリエッティ」の原作です。

小人たちはみな人間の家の床下に住んでいる
と思いがちですが、必ずしもそうではありません。
草原や、アナグマの巣の中、洞穴の中なども多く、
人間の家の床下で生活できる「家族」は限られているようです。

人間の生活道具の一部を
こっそり借りてきて、床下にリビングや寝室を作り
灯もとれるわけですから、快適そのもの。
しかし、その姿を人間に「見られたら」もうその生活は終わりです。

アリエッティが出会ってしまったその家の少年は
冷静で彼女たちのことを理解してはくれましたが
アリエッティの父親のポッドをみた人間はそうはいきません。
床板をこじ開けて小人たちの部屋をバラバラにしてしまうのです。


本作は、小人たちの冒険のほんの始まりにすぎません。
アリエッティ一家は、この後、この人間の家を離れ
草原に出て、すみかを探し、新しい生活を始めることになります。

作中、アリエッティは人間のこと、つまり少年のことを
擁護しますが、ポッドはそれを否定します。
人間がどんな約束をしてくれたところで
いいことをされたためしがないというのです。
ちょっと、心が痛みました。

床下から床上に這い上がって
大きな時計の下の穴に出てくるまでの様子はドキドキします。
外に出た時の開放感、床下とは違った陽の光の強さ、
希望と期待と緊張。
そういう感覚をいつまでも忘れないでいたいなと思うお話でした。

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床下の小人たち
メアリー・ノートン
林 容吉 訳
岩波書店 2010年



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