読了。
「晩年」という小説ではない。
著者が20歳代前半の頃に書いた
いわゆる処女短編小説集だ。
それに「晩年」というタイトルをつけるのだから
やはり、そこが太宰 治らしいというか。。。
すでにこの本の中で、入水自殺の影が
うっすらとほのめかされていたりもして
初期短編集にして遺書的な感じがしなくもないけれど、
意外にも、明るくて面白い話が多い。
太宰 治というと暗くて陰鬱なイメージを持つ人が多い。
はたして自分もそうでしたが、読むと案外それほどでもない。
すごいのはすごいけどね。
印象に残っているのは、
「彼は昔の彼ならず」とか
なんとあの大庭葉蔵がでてくる「道化の華」や
「猿ヶ島」
あたりかな。
芸術家を志望する友人をモデルにして
彼はいったい何者なのだというのを
あえて英語で綴りつつ、
実は自分について問うているという
太宰 治流の筆の使い方と心の変わり方、
そして、その読み方がますます面白くなってきているこの頃です。
本書の内容とは関係ないのですが、
この本を読んでいる時に、
左足首を剥離骨折しました。
記憶に残る一冊となってしまったようです。
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晩 年
太宰 治
新潮社 2013年
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