読了。
「ニューヨーク、ニューヨーク」
「オートバイ、あるいは夢の手触り」
「半減期を祝って」
の三編からなる。最後のは著者の絶筆らしい。
三十年。みなさんはどういう感覚ですか。
いまから思えば、もちろん世の中や技術は変わりましたが
自分自身も含めて、そんなに劇的に変化した
という感覚があまりありません。
セシウム137という放射性物質は三十年で半減期を迎えるそうです。
むろんプルトニウムなどはもっと長いわけですが。
その「節目」と呼ばれるであろう三十年後に
自分は何をしているか、マスコミや世間はどう沸いているか。
なんかある程度の想定の範囲の映像があたまに浮かびます。
一方で、思いもかけない事象が起きているかもしれない。
差別であったり、格差であったり、隔離であったり。。。
お祝いムードで持ち上げながら、世の中をぐっさりと刺す
そんなお話が描かれています。
前編の二つは、どちらも夢を追い求め
頭でっかちになっていきながらも
真実に気づく女性たちの姿があります。
ニューヨークのことは路地裏の隅々まで頭の中に入っている。
南海の孤島の小さな村でオートバイを購入する。
そんな女性たちです。
なお、ご存知の通り著者は、太宰治の娘です。
ちょっとここんところ太宰づいています。
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半減期を祝って
津島佑子
講談社 2016年
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