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2020年6月14日日曜日

読了メモ「倚りかからず」茨木のり子 「別冊太陽 日本のこころ 茨木のり子 自分の感受性くらい」





読了。

今年2回目かな。詩集を読んだ。
茨木のり子さんの詩集としては最後のものだそうで、
タイトルとなっている「倚りかからず」の他に15篇の詩が収められている。

今回は、下の写真にあるいわゆるムック本の「別冊太陽」を
一通り読んでから、本書に臨んだ。
彼女の生い立ちや生涯、時代背景、
異国の友人との交流などを理解した上で詩を読むと
心に入ってくる勢いが違う。
もちろん、別冊太陽の方にも
たくさんの詩が載っているので
茨木のり子ワールドにどっぷりと浸ることができた。

まっさらの状態で詩を読むのがいいのか
今回のように事前情報を蓄えてから読むのがいいか
意見は分かれると思う。
今回、彼女の詩の場合については、後者の方が
より作者の気持ちに寄り添えることができるようになると思った。

彼女は昭和元年生まれなので、まさに
日本が軍国主義に邁進していく時代に
思春期・青春時代を過ごしたことになる。
学生時代は全校生徒に号令をかける役目を負って
喉を潰してしまったりもした。
医師である父親の勧めもあって薬学部に進むが
その世界はどうにもなじめず、
自らの意思で文学の門をたたき
詩の世界に入る。

彼女の詩は、背筋が伸びるようなキリッとした作品が多い。
それは男勝りとか、そういう見方ではなく
読後に瞑想をし、人生の反省と期待が入り混じったような感覚。
静かに心を落ち着けてじっくり味わいたい。

「倚りかからず」には
「自分の感受性くらい」の詩は入っていない。
その意味でも、二冊を併読してとてもよかったと思っている。

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倚りかからず
茨木のり子
筑摩書房 1999年

別冊太陽 日本のこころ 茨木のり子 自分の感受性くらい
平凡社 2019年



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