読了。
今年2回目かな。詩集を読んだ。
茨木のり子さんの詩集としては最後のものだそうで、
タイトルとなっている「倚りかからず」の他に15篇の詩が収められている。
今回は、下の写真にあるいわゆるムック本の「別冊太陽」を
一通り読んでから、本書に臨んだ。
彼女の生い立ちや生涯、時代背景、
異国の友人との交流などを理解した上で詩を読むと
心に入ってくる勢いが違う。
もちろん、別冊太陽の方にも
たくさんの詩が載っているので
茨木のり子ワールドにどっぷりと浸ることができた。
まっさらの状態で詩を読むのがいいのか
今回のように事前情報を蓄えてから読むのがいいか
意見は分かれると思う。
今回、彼女の詩の場合については、後者の方が
より作者の気持ちに寄り添えることができるようになると思った。
彼女は昭和元年生まれなので、まさに
日本が軍国主義に邁進していく時代に
思春期・青春時代を過ごしたことになる。
学生時代は全校生徒に号令をかける役目を負って
喉を潰してしまったりもした。
医師である父親の勧めもあって薬学部に進むが
その世界はどうにもなじめず、
自らの意思で文学の門をたたき
詩の世界に入る。
彼女の詩は、背筋が伸びるようなキリッとした作品が多い。
それは男勝りとか、そういう見方ではなく
読後に瞑想をし、人生の反省と期待が入り混じったような感覚。
静かに心を落ち着けてじっくり味わいたい。
「倚りかからず」には
「自分の感受性くらい」の詩は入っていない。
その意味でも、二冊を併読してとてもよかったと思っている。
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倚りかからず
茨木のり子
筑摩書房 1999年
別冊太陽 日本のこころ 茨木のり子 自分の感受性くらい
平凡社 2019年
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