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2020年6月28日日曜日

読了メモ「横浜駅SF」柞刈湯葉



読了。

本書を原作にコミックが出されているというので
ご存知の方も多いのではあるまいか。

横浜駅。
自分も毎日のように通過し
乗降するよく使う駅だが、
確かに、工事が終わった姿を見たことがない。
最近、漸くJR YOKOHAMA TOWERとかができたらしいけれど
他の工事は未だに終わっていない。
話によると100年近く工事が続いているとか。


本書は、JR統合知性体という頭脳が開発されたことで
改築工事の続く横浜駅が自己増殖の暴走をはじめてしまい
陸続きの本州全てを横浜駅が覆い尽くしエキナカが占拠してしまう。
これに対し北海道と福岡のJR支局が横浜駅による侵食を
防ごうとする奇想天外なSF小説である。

ちなみに、本州の全てを横浜駅が覆い尽くすということは
線路がない、即ち鉄道がないということを意味する。
駅が一つしかないのだから当然だ。
全てがエキナカと動く歩道やエスカレータで構成されている。

そして、エキナカに入れない人たちも存在する。
横浜駅からの下りのエスカレータの出口しかない
海に近い痩せた土地に暮らす人々だ。
では、エキナカで生活するためにはどうすればよいか。
それは高額を支払って、
頭の中にSuika(本書ではSuicaではなくSuika)を埋め込んでもらう必要がある。
さもなければ、Suika不所持を発見されて、
自律歩行する自動改札幾が現れて
駅の外に強制的に放り出されてしまうことになる。

主人公による横浜駅増殖を止めるボタンを探して
Suikaではなく青春18切符で駅構内を移動するスリルと
超未来的で日本縦断のスケールが交錯して面白い。


横浜駅をご利用の方も多いと思いますが、
工事は本当にいつ終わるのでしょうかね。

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横浜駅SF
柞刈湯葉
KADOKAWA 2017年



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