2020年6月6日土曜日
読了メモ「ぼくの植え方 日本に育てられて」エドワード・レビンソン
読了。
アメリカ人で、写真家の著者が
日本に移住し、日本人女性と結婚し永住権を取得。
海も山もあるいわゆる田舎に移り住み、
農業を通じて、自然の中に聖地を
見出すというなんとも崇高なお話。
アメリカにいた頃からバックパッカーで、
ヒッチハイクをして移動していたが、
日本にきてからはなかなかそうはうまくいかない。
最初は、庭師の仕事に就く。
彼に言わせればガーデニングなのだが、
外国人が半纏を着て、庭の松の木の剪定をしている様子なんか
なかなか稀有な光景だろう。
次に農業をするため、田舎にいく。
田舎では、なんの躊躇いもなく相乗りをさせてくれる。
手を挙げずとも、軽トラのおじいさんから
声をかけてくれる。「どこまでいくの?」と。
逆に、著者がバンを運転していると
山道を歩くお婆さんには声をかけずにはいられない。
そして、優しい笑顔を返してくれる。
お礼にといって、ジャガイモや
タバコでも買ってねと現金を置いていこうとまでする。
田植えの時には、近隣の農家の人が手伝ってくれるばかりでなく、
買い物帰りの通りがかりのおばあちゃんが
見かねて、素足で田んぼの中に入ってきて
手慣れた所作で作業を終えてしまい、
買い物のお裾分けまでいただいてしまう。
著者はチェルノブイリ原発事故地近辺の
ベラルーシ共和国から少年数名を招聘し、
一緒に田舎暮らしをするなどの交流活動も試みる。
日本にきて30年以上経つそうだ。
本業の写真家としての活動は、モノクロやデジタルの他に
ピンホールカメラでも撮影を行い、
日本の原風景の撮影を続けている。
エッセイストで本書も翻訳された
奥さんの本には彼の写真が掲載されている。
本書の原稿はさすがに英語で書かれたが
思考は日本語で行ったとか。
各パラグラフの冒頭には、著者作の俳句が載っている。
日本語の俳句も味があって素晴らしいが、
英語も読むとリズム感があって心地よい。
著者の笑顔の写真がとてもいい。
日本という国の良さを感じる本です。
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ぼくの植え方 日本に育てられて
エドワード・レビンソン 鶴田 静 訳
岩波書店 2011年
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