2020年5月30日土曜日

読了メモ「もっとも危険な読書」 高橋源一郎



読了。

週刊朝日に連載されていた
「退屈な読書」という高橋さんの書評を
130本近く編纂したもの。
1本がきっちり本書の3ページ分。

退屈な読書もたくさん集まると
危険な読書になるのかしら。
でも、とっても面白かったですよ。

もちろん、知らない本がたくさん出てきたけれど
読み進めるにつれて高橋さんの筆(口調)も好調に滑りだしてくるし。
自分の積読本や読了本が出てきたりした時は勝手に舞い上がれるし。


老人の主張と題した赤瀬川原平さんのポーンと忘れてしまう話や
武者小路実篤さんの人間として前進と後退を繰り返してしまう話は
思わず吹き出してしまいました。
そうそう、エンタテインメントと純文学の違いってなんだかわかります?
考えてみてください。
ヒントは、ある役柄の登場人物がでてくるかこないかだそうです。


一方で、評論家の文章は、
素人向けにこそ明晰な論理と傍証、
すぐれた表現力と構成力が必要になると
司馬遼太郎さんは話されていたそうです。
同じ分野の仲間に向かって話すには
ほとんどの言語量は不要になるとまで。
蓋し名言ですね。

また、高橋さん自身も
自分の書くものが多くの読者にとって開かれたものでありたいと思いつつ、
実はどこかにいる「たったひとりの読者」に向かって
書いているのではないか、そうあるべきなのではないか、
という自問から逃れられないでいるんだそうです。


さて、自分はこのブログをどういうスタンスで書いているんだろうか........
単なる備忘録だな。

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もっとも危険な読書
高橋源一郎
朝日新聞社 2001年



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