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2022年4月8日金曜日

読了メモ「コンビニ人間」村田沙耶香



読了。

2016年第155回の芥川賞受賞作。
読まれた方も多いのでは。

タイトルから、コンビニみたいな便利な人間が引き起こす
コミカルな話かなと勝手に思っていたら全く違った。
とても不器用な人たちの話であった。

コンビニの制服を着たAI アンドロイドみたいな人たち。
研修や実習を重ねながら、人間らしく振る舞うようになり、
同僚やお客さんの素振りに感情を揺さぶられたりする。
しかし、一般の会社ではダメなんだと。
主人公はコンビニのアルバイト店員でないと働けないという。
店舗周辺を調査し、マーケットニーズを敏感に把握し
お弁当や軽食の発注量に気を配ったり、
値札や商品の向きを揃えたり、
コンビニの仕事に正面から向き合っている。
世界の歯車になって動いていると実感している。

一方で、コンビニのアルバイト店員をクビになる青年もいる。
一人で世間や体制を批判し、真摯な姿勢が仕事に見えない。
目の前の主人公に毒づきながら、いつのまにか
主人公の家に隠れるようにして生活する逃避者。

主人公はもし自分がクビになっても、
すぐに人員は補充され、お店はまわっていくと
自分の人生に思い馳せる。
でも、やっぱり自分はコンビニ店員じゃないと
やっていけないことに気づく。

これって、一般の会社に勤めている自分もそうで
自分がいなくても、別に会社がどうこうなるわけでもない。
ちゃんと会社は動き続けていくんですよね。

自分が精一杯、活き活きできる時間や空間ってなんだろう。
そんなことを思う一冊でした。

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コンビニ人間
村田沙耶香
文藝春秋 2016年

※下記は文庫版でのご案内です。


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