2022年4月2日土曜日

読了メモ「鏡のなかの鏡 迷宮」ミヒャエル・エンデ



読了。

著者は、あの「モモ」や
映画にもなった「はてしない物語(The Never Ending Story)」の
ミヒャエル・エンデ。

30編にも渡るファンタジー短編集。
特徴的なのは、それぞれのお話にはタイトルがない。
目次には、冒頭一行の文言が書かれている。

一つ一つを読みすすめて感じるのは
すべての話がどこかで繋がっているような気がしてならない。
教室、舞台、絵画、砂漠、暗闇のような空間と
それを隔てた、こちら側と向こう側で
登場人物たちが会話を交わしていくのだが
物別れになったり、きちんと理解しあう前に
終わってしまう話が多い。

子ども向けの童話なのであろうが、
なかなか奥が深い。たとえば。。。

 一生懸命、セリフや立ち回りを本番舞台の上で思い巡らしているのに
 上がるはずの幕がいつまでたっても上がらない。
 誰かに声をかけた方がいいのか。幕はただ左右に揺れているだけ。


 世界は断片からなりたっているが、
 断片はどんどん壊れ続け、お互いをつなぐものが少なくなっている。
 あらゆるものを結びつける言葉を見つけなければならない。
 その言葉が見つかることを信じれば、時事刻々と世界は変化し
 自分たちはその証人になれる。


 「落ちることを学べ!」
 「おまえは自由になるのだ。」
 「さもなければ、おまえはもはや存在しなくなるだろう。」


断片的に紹介してしまったが
なにか考えさせられるお話ばかり。
ゆっくりと時間をかけて読みたい一冊である。


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鏡なかの鏡 迷宮
ミヒャエル・エンデ
丘沢静也訳
岩波書店 1986年


※下記は文庫本でのご紹介です。


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