読了。
アニメではなく、マンガ版「風の谷のナウシカ」をベースにした一冊。
一人の作家の作品がコンパクトにまとまっている
この「ちくま日本文学」シリーズ。
実は初めてだったがとてもよかった。
まだいくつか積んであるので楽しみである。
30歳前後で結婚2〜3年であろう夫婦のエッセイ。
書き手は、詩人で国語教室を主宰している奥様。
なんとも微笑ましい。
日々日常の些細な所作の一つ一つに二人は解釈を加え、
その度に二人の言い分は食い違う。
二人は全くの他人だから、今後のことを予測してもしようがない。
これまでがこの先も続くほうに覚悟を決めて賭けてみるという。
こうしてお互いの信頼が築かれていく。
とても仲の良い二人であることがよくわかる。
文章の表現や言葉の選び方が背伸びをせずに等身大で
素直に口を出てきた感じがして好感が持てる。
読んでいるとなぜかTARAKOさんの声が聞こえてきそうな感じがする。
エッセイの合間には、詩も挿入されており
これらの普通な空気感もとてもいい。
身近な感覚でどことなく懐かしい感覚さえおぼえたりするところもある。
「いちばんふつうの家のカレーが好きなんだよね」
では、食事に愛を込める云々という話と
料理にいろいろ工夫をこめて最高の味になった話の
微妙な感覚のズレが面白かったし、
「熱が出ると」
という詩などは、臨場感もあって
読んでる側の手が熱くなる感じを覚えるほど。
自分が同じ年齢だった頃はどうだったかな。。。
ふと思い出そうとしちゃいました。
おりしも、オッペンハイマー博士の映画を鑑賞し
テレビで下山事件の特集番組を観たが
本書の時代背景と共通する大きなうねりがあると感じた。
それは一体なんだろうか。。。
なお、本書の原題は下記の通りで
米国でも数々の賞を受賞したノンフィクションなのでした。
EMBRACING DEFEAT
Japan in the Wake of World War II