2017年5月13日土曜日
読了メモ「西表島の巨大なマメと不思議な歌」 盛口 満
読了。
マメ というと何を思い浮かべるだろうか。
ダイズ、サヤエンドウ、インゲンマメ、アズキ、ソラマメ、、、
本書にも書かれている通りで、たいていの場合、食べられるマメしか知らない。
あとは、枝豆や納豆などメニューに出てくる豆くらいか。
そして、これらは小さい。せいぜい大きくてもソラマメくらいまでで、
豆粒ほどの...などと小さいことを指す言葉にもなっている。
ところが、本書に出てくるマメはでかい。
サヤの長さが1メートルを超え、その中に20個近い豆が入っており、
一つ一つの直径も4〜5センチはある大きなもので、表皮はめちゃくちゃ固い。
なかには、有毒成分を含んでいるものも珍しくないという。
群生して木質化したツルを見上げると「ジャックと豆の木」に出てきたような
大きな葉ぶりで、根元まわりは40センチ近くにもなるそうだ。
西表島にはこれらの巨大なマメの他にも
ヤマネコやクイナなど世界的にも珍しい生き物が生息するとともに
同じ島に古くから人が住んでいる歴史もある。
秘境で希少な自然に目が行きがちだが
そこに住む人たちと自然との関わりという観点でみていくと、
また違った西表島の姿を感じとることができる。
彼らにしてみれば、巨大なマメもヤマネコも身近にある普通の自然なのだ。
昔はヤマネコも獲って食べていたこともあったそうだ。
本書はそういうことを教えてくれる。
それが象徴的にあらわれるのが島に伝わる不思議な歌。
カエルに羽が生えたり、ヤモリがサメになり、トカゲがジュゴンになる。
弥勒信仰が盛んな地区では、ミロク祭が転じてミルク祭と呼ばれ
そこには、ズタ袋を担いで長靴を履き、
目がたれ口髭を生やして丸い口を開けた面を被って
オホッ!オホホホ!と奇声をあげて
女性をたぶらかしてつれさろうとする道化役がいる。
集落ごとにこの祭の様式や歌の歌詞が異なってくるのも面白いところ。
西表島の巨大なマメは、海をただよい漂着して分布を広げてきたそうです。
島の古くからの祭も歌も生活も、きっとどこからか流れ着いて
また流れていって今の姿になったのでしょう。
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西表島の巨大なマメと不思議な歌
盛口 満
どうぶつ社 2004年
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