読了。
とっても、痛快です。
出版業とは全く無縁の仕事をしていた彼女が
ひょんなことから一冊の本を出版することになってしまう。
いきさつはどうあれ、その後の話の展開具合、転がり具合、
つまずきながらもあらよっと乗り越えて行く姿と勢いが実にいい。
なにせ、こんな言葉がやたら頻繁にでてくる。
「実は後から知ったことなのだが」
こう言っては失礼だが、もう出たとこ勝負なのである。
読んでいて面白くないわけがない。
もちろん出版業がとても大変な仕事で
けっしておちょくって書かれていることはないし
読み手側もそんなことはこれっぽっちも思っていない。
たぶんに彼女のキャラクターによっているところが大きいのでしょう。
ちょうど彼女の世代年齢が自分と重なっていたり、
スープラに乗っているというのも何か変にくすぐられる。
同時に、取次と呼ばれる全国書店への卸業者とのやりとりや
売れ残った本の返品、見本納品、短冊型の用紙による注文の取り方
はては最近のオンライン書店の事情など
出版業界ならではの御作法の一部分を覗くこともできる。
しかもめちゃくちゃ現場レベルでの話でだ。
だから、臨場感もあってわくわくで読み進めてしまえるのでしょう。
著者の出版社は「アニカ」という会社です。
出版社で読む本を選んでいることはほとんどないですし
新刊よりは古本屋漁りがメインの小生としては、
巡り合うチャンスは少ないのかもしれないけれど
心に留めておきます。はい。
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日本でいちばん小さな出版社
佃 由美子
晶文社 2007年
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