読了。
久しぶりにバリバリのアメリカ小説を読んだ。
原書を直接読めるわけもなく、それでいて翻訳物が苦手な自分にとって、
今回は読みやすかったです。スラスラとページをめくることができました。
いきなり主人公の爆死から始まるこの話。
語り手のピーターを通じて、たくさんの登場人物がでてきて
そりゃもう組んず解れつの人間関係がつむぎ上がって行く。
どいつもこいつも、いろんな面で身勝手で狂信的であったりもするんだけど
もちろん善良な心もあるのですよ。
ただ、それぞれの登場人物が自分がこうだと思ったら
それをやり抜いてしまうっていうある種の「非常な強さ」を感じました。
そうしないと生き抜いていけないのがアメリカなのかなとか
ステレオタイプ的にみてしまうのはどうかなとは思うものの。
題名のリヴァイアサンは怪物の名前ですが、
世界史を勉強された方なら、聞き覚えのある言葉かと思います。
英のトマス・ホッブズが17世紀に残した近代的な国家観を示した政治哲学書です。
そんな話しが本書に出てくるわけではないのですが
後半の環境や自由に対する主人公の行き場のない行動は
もしかしたら、国家に対するメッセージがあったのかもしれません。
途中、こんな一文がありました。
「生身の他人が一緒にいれば、現実世界だけでこと足りる。
それが、一人でいると、架空の人物を作り出さずにいられない。
仲間がいないと駄目なのさ。」
ちょっと考えると怖い発想ですけれど、その通りだなと思いました。
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リヴァイアサン
ポールオースター
柴田元幸 訳
新潮社 2000年
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