2017年8月1日火曜日

読了メモ 「クラゲの正体 」坂田 明



読了。

著者はアルトサックスのジャズミュージシャンで
どちらかというとミジンコ研究のイメージが強かったけれど
実はクラゲにも造詣が深かったようです。
もともと水産学部出身の方だったのですね。

中身はいたって、まじめで自然科学の話です。
クラゲのいろいろと形の変わる一生を知ることができるし
ポリプやエフィラなどややこしい名前も整理してみることができました。
しかもほとんど、著者自筆の挿絵によるものです。

前半は、鹿児島で、後半はなんと江ノ島水族館での専門家との対談形式になっています。
もちろんフィールドワークにでもでかけて、生きたクラゲを採取してきて
実験室で拡大して観察して大きな歓声をあげたりします。
槍のような刺胞細胞を使った餌の取り込み。彼らは口と肛門が一緒なのです。
クラゲは体の成分がほとんど水だと言われるのを聞いたことがあると思いますが
むやみに手ですくい上げたりしないでください。
刺されることはもちろんですが、人間の体温はクラゲにとっては高すぎるので
触られるとクラゲは火傷をして死んでしまうのだそうです。
また、環境汚染によって、メスのクラゲにオスの生殖器が発生する事例があるとか。
ミジンコと同じ無性生殖をする時期はクラゲにもあるそうなのですが、
自然の摂理を人間が破壊している話しはなんとも痛々しいものです。
でも専門家や水族館の裏方の人とのそんなやりとりが実に楽しそうです。羨ましい。


今、夏本番ですが、間も無く海水浴場にもクラゲがでてくる時期になります。
わが地元の海でもカツオノエボシが打ち上げられているのをみたこともよくあります。
絶対に触っちゃだめですよ。

クラゲの展示で有名な新江ノ島水族館がせっかく近くにあるのですから
冷房も効いてるし、ちょっと行ってみますかね。

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クラゲの正体
坂田 明
晶文社 1995年

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