2018年4月23日月曜日

読了メモ「抒情的恐怖群」 高原英理



読了。

7つからなるホラー短編小説集。

恐怖小説を最後に読んだのはいつかな。
ずいぶんと久しぶり。
以前と同じく、ぐいぐいとひきこまれ一気に読んでしまいました。

やむをえないけれど、多少スプラッター的なところあります。
それが少しでも苦手な方は避けたほうが無難でしょう。
いきなり、顔が半分しかない子供が出てきたり
ゾンビに追われ、体に無数の小さな手や足が。。。。。


というか、やっぱり表紙に惹かれますね。
なんといってもこの本の決め手は表紙です。
絶対に逃れることのできない視線がずっと気になり、
いつ読もうか、いつか読まねばと思っていました。
その時点ですでに取り憑かれていたりして。
きっと貴方も虜になっていると思います。

でもはやはりエログロナンセンスは、
江戸川乱歩の方が風情もあっていいなぁなどと思う。
本書はそれほど、ドロドロ感はないように思います。
怖いことは怖いけどね。


全然、本書と関係ないのですが、職場に電波時計があるんです。
時々、時刻合わせのために、いきなり自動的にぐるぐる針が回り始めるんです。
あれって怖いです。なんとかして。

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抒情的恐怖群
高原英理
毎日新聞社 2009年





2018年4月18日水曜日

読了メモ「ムナーリのことば」ブルーノ・ムナーリ



読了。

ブルーノ・ムナーリ。

イタリアの美術家。
この本を手にするまで、彼の名前すら知らなかった。
ただ、古本屋で見つけて、表紙に惹かれたので
今、手元にあるということ。

表紙にはこう書いてあります。

おとなのしるしに
懐中時計をつけてもらった
そのとき 僕は10歳で
でも 何時におとなになったらいいのか
よくわからなかった


短文集で、エッセイとはちょっと違う感じ。
どれも彼の素朴な視点、見え方が綴られている。
ほんの短い表現で芸術論を説いていたりもする。

若返りの秘訣 なんてところでは
なるほど、言われてみればその通り。

面白かった指摘は、斜体で話す というお話。
新聞や雑誌は、文字の大小やフォントを変えて
いいたいことや大切なことを強調するが、
ラジオはそうはいかない。
どんなニュースも同じトーンで聞こえてくる。
内容によってテノールやソプラノ、バリトンで
ラジオのアナウンスを変えてくるのはありなんだろうかって。

そんな話のいくつかを憶えているうちに
ちょうど今、葉山の神奈川県立近代美術館で
彼の回顧展示を開催しているので
観に行こうと思います。


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ムナーリのことば
ブルーノ・ムナーリ
阿部雅世 訳
平凡社 2009年

2018年4月11日水曜日

読了メモ「片思いの発見」小谷野 敦



読了。

とてもじゃないが、
軟弱な話を想像していた自分にあきれてしまった。
ガッッチンガッチンの文藝評論であった。

国木田独歩の実際の恋愛の話を例にあげながら
それをモデルにした有島武郎の「或る女」の話。
川端康成作品の意外にも女性受けしない背景やら。

徳川時代から世の女性(男性)の耳目を集めたのは、
結局は容貌であり、昔から元も子もないなぁなんて。

唯一の救いは、伝統的な日本文藝では女性の心を捉えるのは
「金と力はなかりけり」の「優男」であって、
断じて「肉体派」ではなかったようです。
現実はどうなんだろう。

とにかく、著者によれば、「片思い」とは
分の悪い感情で、相手の感情が変わらない限り苦しく
他人の同情も得にくいのでほとんどメリットがないという。
そりゃまぁそうだけれどもさ。

う〜む。好きなんだからしょうがないじゃん
では、まだまだまだまだまだなんですね。

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片思いの発見
小谷野 敦
2001年 新潮社

2018年4月1日日曜日

読了メモ「江ノ島西浦写真館」三上 延


読了。

タイトル通りのご当地系でミステリーもの。
著者はあの「ビブリア古書堂の事件手帖」のお方。

主人であるお祖母さんが亡くなった江ノ島の古い写真館で
その遺品を整理するというところから話が始まっていく。

特に殺人やスプラッター的なものがあるわけではなく
4枚のプリントされた写真を通じた謎解き、
その写真にまつわる人たちの
人間関係を紐解いていく流れになっている。

古い写真館の話なのでフイルムや現像、暗室など
心くすぐられるワーディングがあると思えば
デジタルカメラで撮った写真がネット上に流布されてしまって
友人関係が拗れてしまうような今風な話も盛り込まれている。

昔からの写真館なので、古い撮影道具の匂いにつつまれたスタジオがあり
その2階にすむ管理人というのが、最後に仮面を外すのですけど
まぁ、ミステリーなのでこの辺でとめておきましょう。

ただ、もうちょっと装丁はどうにかならなかったかなぁw
もっとシンプルでもよかったと思うのは私だけか。

江戸川乱歩や横溝正史のようなドログロは期待してはいけません。
あくまで、湘南は爽やかなのである。


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江ノ島西浦写真館
三上 延
光文社 2015年