2018年7月12日木曜日

読了メモ「カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化」平山 廉



読了。

薄めの冊子ではあるが、中身は濃い。
現生のカメよりは、化石時代のカメの話が中心。

それでも、現在で世界最大の生息域をもった脊椎動物がカメのある一種だったり、
そして推定最長寿200歳を超えると見られるゾウガメ。
恐竜のアンキロサウルスや甲冑魚などと同じく硬い甲羅で身を守り
鋭い牙はないけれど強力な顎の力と嘴状の口を持つ話などは
カメの多様な進化の典型的な事例だ。
首をまっすぐ甲羅の中にしまう仕組みには
自然でうまくできあがったギミックを感じる。

ちなみに、よくアニメなんかで甲羅を脱いで
カメが裸になる画なんかあるけれど、
カメの背骨と肋骨は甲羅に完全にくっついているので
あんなことはあり得ない。


恐竜が絶滅したと言われる白亜紀末期。
巨大隕石衝突説が有名だけれど、
はたして、この時に多くのカメの種類も絶滅したのか?
というとそうではない。実はこの時に絶滅したカメは
一種だけだったそうだ。
カメ以外にも自然界の底辺をなす昆虫などは数多くが生き残っており、
隕石衝突による粉塵で太陽光が遮られ
地球全体の気温が下がり変温動物が
絶滅したという話とは食い違いがでている。
謎は謎のままだ。

イラストや口絵などもたくさんあるが
学術的で化石時代の話が多いので
各時代のカメの名前と進化の関係を把握するのに苦労する。
自称、カメ男、カメ子、カメ仙人の方々はいかがだろうか。
NHKブックスなので、読みやすいはずである。

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カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化
平山 廉
日本放送出版協会 2007年




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