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2020年4月23日木曜日

読了メモ「昆虫記」アンリ・ファーブル




読了。

貴方も子どもの頃に読んだことがあるのではないでしょうか。
かくいう自分も読んでおりまして、「再読」です。

ただ、その時と大きく違うのは
翻訳と解説が、理学博士の方だったのに対して、
今回は、翻訳が、詩人の大岡 信さん、
解説は、歌人の俵 万智さんという布陣なのです。
そうなってくると
ある種の先入観みたいなものが働いて
なんか、理科系の本を読んでいる気がしないのでした。

やはり一番面白かったのは
フンコロガシ(オオタマオシコガネ)の話でした。
コロコロと糞の玉を後ろ向きで押し転がしたり
横取りする輩がでてきたり
卵を産みつけるために糞の玉を洋梨型に細工したりと
目の前でフンコロガシが奮闘する様子が目に浮かぶようでした。

クモの子どもが糸を出しながら高いところに登って、
空を飛んでいくところの話なども、なぜか郷愁を誘いました。


上巻に、セミ、コオロギ、カマキリ、コハナバチ(ミツバチ類の総称)、
オオタマオシコガネ、キンイロオサムシ、
下巻に、シデムシ(埋葬虫)、ツチスガリ、キゴシジガバチ(共に狩人蜂の一種)、
オニグモ、ラングドックサソリ(地中海沿岸/アフリカに生息)

が登場します。
下巻の昆虫(昆虫ではないものもいます。わかりますよね)のほうが
イメージ的にダークな感じですが、
ファーブルの根気強い観察と実験によって
昆虫たちの生きる力強さ、自然の巧みさがキラキラと光っていて
小さいけれど地球の生態系が目に飛び込んで来るようです。


全ての話に子孫を残すための昆虫たちの必死の営みが描かれています。
カマキリが交尾の後に、メスがオスを食べてしまうのは有名ですが
同じような生態をもった虫が他にもいるのですね。

次世代を残すこと、遺伝子を伝えていくことが
誰にも侵すことのできない尊いものであることを
感じることができました。

うむ、人間でよかった。

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昆虫記
アンリ・ファーブル 大岡 信 訳
河合書房新社 1992年


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