読了。
陶芸家で画家でと様々な肩書きを持ち
そして美食家としても有名な著者の日本料理に関するエッセイ。
エッセイのメニューとしては
寿司
魚(鮪、初鰹、鮎、鰻、河豚)
鍋料理と雑炊
茶漬け
日本料理の基礎観念
そして最後に、魯山人語録と続く。
全編を通して、自身たっぷりの言い切りっぷりが気持ちいい。
ここまで言い切られると本当に
厳選された質のよい材料で作られた料理を食べたくなる。
ただし、その世界に入るにはなかなか厳しそうだ。
貧しい者には貧しいなりの料理
富裕な者には富裕なりの料理があり
それぞれは相入れないものであるとか、
食器は料理の着物であり、相応しい器があってこそ
料理になるという。
また、鰻にしてもスッポンにしても
ただ太らせる養殖よりは、天然ものがよいのだが
養殖でも適切な餌を与えることによって
味が全く変わってくる。
しかしコストの関係でなかなかそうはいかない。
よだれが出そうになったのは雑炊のところで、
納豆雑炊なんてのも紹介されていた。
他のメニューは恐れ多いけれど、
これなら自分でも作ってみようか!なんて気にもなる。
商業料理は儲けが一義で、どうしても料理は二義になってしまうことを
憂えながら、魯山人語録の一番最後の言葉が染みる。
家庭の料理、 〜 中略 〜、そこにはなんらの思惑がはさまれていない。
ありのままの料理。それは素人の料理であるけれども、一家の和楽、団欒が
それにかかわっているのだとすれば、精一杯の、まごころ料理になるのである。
味噌汁であろうと、漬けものであろうと、なにもかもが美味い。
ところで、鰻の蒲焼ですけど、蒸す工程が途中に入る東京風と
直焼きの上方風のどちらがお好きですか。
魯山人先生は、断じて東京風だと言って譲りませんけど。
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魯山人の食卓
北大路魯山人
角川春樹事務所 2004年
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