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2020年4月6日月曜日

読了メモ「40°C超えの日本列島でヒトは生きていけるのか」 永島 計




読了。

地球温暖化などと言われて久しい。
毎夏、熱中症で救急搬送され亡くなられたというニュースが毎日のように流れる。

本書にも書いてあったが、自分が子どもの頃には
熱中症という言葉はなかった。
日射病とか熱射病とかは聞いたことがあったけれど。
それでも、夏になると毎日のように
ニュースが流れるようなことはなかったように思う。

確実に真夏の気温は上がっているらしい。
特に都市部はヒートアイランド現象もあって著しいようだ。
話はずれるが、こんな猛暑の中で
オリンピックを本当に開催するのだろうか。


本書では人間の体温調節機能について
大変詳しく述べられている。
実は熱中症という病気はなく
暑さによる様々な機能障害によって
体温調節機能を失った状態を括っている呼称だそうだ。
著者はドクターなのでもちろんなのだが
専門用語が多く、簡単なキーワード解説がついているとよかったかな。


人間の体温には、
体の内臓の温度であるコア体温と
体の周辺の温度であるシェル体温の二種類があり、
体温を調節する際に、部位によって優先順位が決まっている。
プライオリティNo1は、もちろん脳だ。
どんなに暑くても、脳は最優先に
血液が送られ熱がたまらないようになっている。

サウナなどで、大きな水玉のような汗を
腕にかくことがあるが、あれは体温を下げている汗ではなく
単なる体の水分が出てきている無効発汗というそうだ。
この状態が長引けば脱水状態に陥る。


また、マグロやサメが泳ぎ続けなければ死んでしまうとよく聞くが、
これは泳ぐことで血液の還流を活発にし体温を上げているからだという。
変温動物とはいえ見事な適応ぶりだと思う。
ちなみに、マグロは体の中心部と外側では10度も体温が違う。

人間は体毛が少ない。他の動物と比べてみて一目瞭然だ。
人間は裸一貫では、体温調節が苦手な動物であり適応できる体温幅も狭い。
そこを、衣服や住居、工業製品などで補っている。

著者は気温40度でも人間は生きていけるというが、
地球温暖化はもちろん、都市環境が気温40度を
超えるような過ちを犯さないようにしないといけない。
と結んでいる。

我々にできることは一体なんだろうか。

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40°C超えの日本列島でヒトは生きていけるのか
永島 計
化学同人 2019年




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