2020年10月12日月曜日

読了メモ「犬であるとはどういうことか その鼻が教える匂いの世界」




読了。

犬の「嗅覚」について書かれた本である。
当初、犬のいろいろな所作や習性についても言及されているかなと
思っていたが、見事に100%嗅覚についてだった。

本書で扱われているのは愛玩用の犬よりは仕事犬。
災害救助犬、麻薬捜査犬、トリュフ検知犬、絶滅危惧種を探す糞検知犬などなど。
このような犬たちにとって、嗅覚の威力は、
我々の想像をはるかに超える能力を発揮する。

犬の鼻には、呼吸ルートと嗅ぐルートがあって、
しかも、嗅ぐルートに入った匂いは反芻されるらしい。
犬の嗅覚細胞を広げたら、その体表をすっかり覆い尽くすくらいあり
人間の場合は肩にあるホクロをやっと隠す程度。
数で比較すると、人間は600万に対し犬は2億〜10億。

そんな嗅覚に優れた犬でも、仕事犬としての向き不向きがあるのも面白い。
仕事犬に向いているのは、
仕事が終わった後の、おもちゃ遊びに夢中になる犬なのだそうだ。
テニスボールを投げて取ってこさせたり、
縄の引っ張り合いだったり、
これらの遊びがあるからこそ、犬は仕事をするのだという。
必ずしも餌につられて仕事をするわけではないのだ。


人間は五感のうち、まず視覚で判断しようとする。
例えば、鏡に自分を映した場合、
何か異物が顔についていれば、人間は取り除こうとする。
これは3歳児程度でも同様だ。
鏡を見て写っているのは自分だと自己認識ができている。
だが、犬は鏡を見ても自己認識はできないらしい。
犬を飼っている人は試してみてはどうだろうか。
ただ、異物の匂いに反応する場合はあるかもしれない。

では、人間の嗅覚はどうか。
訓練しだいで、ある程度の嗅ぎ分けはできるようになる
と本書では実験をしている。
もちろん、犬の能力には遠く及ばないが、
一般的に、人間は嫌いな匂いには敏感で
いつまでも覚えているという。
逆に好きな匂いは覚えていない。

貴方の鼻はいかがですか。

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犬であるとはどういうことか その鼻が教える匂いの世界
アレクサンドラ・ホロウィッツ 竹内和世 訳
白揚社 2019年




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