2021年3月21日日曜日
読了メモ「隠された悲鳴」ユニティ・ダウ
読了。
ミステリー・・・・・
といいたいところですが、謎解きは殆どありません。
作者は、ボツワナの現職の外務国際協力大臣。
テーマは、「儀礼殺人」。
本書の定義によると、
ある儀式にのっとって
人体の一部を得るために
行われる殺人。
とあります。
冒頭、儀礼殺人のために生贄とする少女を探し求めている
犯人が登場します。犯人Gpは3名。
いずれも、社会的地位や実権を掌握している人物です。
ある村の少女が行方不明になるのですが、
警察は、野生のライオンに襲われたものとして
事件を終わらせてしまいます。
それから5年後、国際貢献活動に意欲を注ぐ
若い女性が、ボツワナの奥深い田舎の診療所にきて
とんでもない「証拠」を発見します。
タイトルにある「隠された悲鳴」に相当するものです。
そこから、5年前の事件についての
掘り返しが始まります。
警察をはじめ高級官僚ら数名が首を揃えて
大きな会議室の一角で
真相を追求、いや暴露し始めます。
村人の怒りは頂点に達しており、
当時、なぜ警察は嘘の捜査をして事件の幕を下ろしたのか。
犯人はライオンのはずがない。
「証拠」が物語っているではないか。
真相を開示するページでは、
思わず目を背けたくなるシーンです。
人権問題とも言えるこの事件は
呪術、因習、抑圧、貧困、隠蔽、秘密が幾重にも重なって
一人の少女の命とその惨い扱いを覆い隠しているのです。
遠い昔の話ではありません。
実際にあった事件をもとに
一国の現職の大臣が綴った話です。
今でも現存する犯罪と思うとやりきれません。
現実にはしっかりと目を向けていきたいと思います。
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隠された悲鳴
ユニティ・ダウ 三辺律子訳
英治出版 2019年
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