読了。
皆さんはウルトラセブンの最終回を覚えているだろうか。
ウルトラ警備隊のダン隊員が、アンヌ隊員に
自分がウルトラセブンであることを告げるシーンがある。
この場面で、画面は逆光に反転し、
BGMは、一転してクラシックの曲が流れ始める。
本書は、この曲がなんという曲か、作曲者は誰か、
指揮者は誰か、ピアノは誰かを
著者が執拗に追求しつきとめていく物語である。
青山氏もウルトラセブンを観たのは幼少時代で、
子ども心ながら最終回のあのシーンは、
鮮烈な印象だったのでしょう。
ヒーローものは、特に最終回は、
なんとも切ないストーリー展開が常ですが、
ウルトラセブンは子ども向け番組とはいえ、
全話を通じて、大人も十分に楽しめる作品だったのではと思います。
前作のウルトラマンは、怪獣退治の専門家として
ベムラーという怪獣を追って地球にやってきて、
科学特捜隊のハヤタ隊員の体を借りて
幾多の怪獣を退治しました。
一方、ウルトラセブンは、はじめからモロボシ・ダンとして登場。
クール星人を撃退した功績を認められウルトラ警備隊に入隊します。
ウルトラマンと異なりウルトラセブンは、
地球を狙う宇宙人と戦う話が殆どでした。
そこには、宇宙人と地球人との共生というテーマがあった
とは、よく言われているところです。
最後は、皮肉にもダンは自らがM78星雲から来た
宇宙人ウルトラセブンであることを告白し
地球人アンヌのもとを去ることになります。
著者はこの運命的に出会ったクラシック曲を探すことを通じて
クラッシック鑑賞の面白さ、醍醐味を読者に伝えており、
また後半は、ストーリーも秀逸でBGMも効果的だった
ウルトラセブンのお勧め作品を紹介するという
ウルトラセブンへの愛に包まれた一冊となっています。
それでは、その最後のシーンはこちらから。
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ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた
青山 通
新潮社 2020年
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