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2021年9月21日火曜日

読了メモ「あひる」 今村夏子



読了。

あひるが描かれている穏やかな装丁に
惑わされてはいけない。
本書は、ちょっと心が騒つく。
人によってはユーモアと感じるかもしれないけど
自分はゾクっと違和感を読後に感じた。

・あひる
・おばあちゃんの家(書き下ろし)
・森の兄妹(書き下ろし)

の三つの短編小説からなっている。

飼い始めたあひるの名前は「のりたま」だ。
たくさんの子どもが、のりたま目当てに庭に来て賑やかになる。
でも、のりたまは病気になって病院へ。
その間は、子どもも来ないので庭はとても静かになる。
のりたまが生まれ変わったようになって帰ってくると
また庭や家が賑やかになる。
しかし、ある日のりたまは死んでしまう。
庭にお墓を作って埋めてあげるのだが、
小さな女の子がきて、不思議なことを聞いてくる。。。。

おばあちゃんは「インキョ」と呼ばれる離れに居る。
そこに洗濯物やご飯を送り届けに行くのは、
みのりちゃんや弟の役目だ。
ある時、弟の診療のため、夜遅くまでおばあちゃんと
みのり二人でお留守番をすることになった。
みのりは、おばあちゃんに嘘をついて夜に出かけてしまうが
竹藪に迷い込み迷子になってしまう。
やっとのことで公衆電話を見つけて家に電話をかける。
電話に出てくれたのは。。。。

仲良し兄妹は、いつしか他人の敷地に入り込んでしまい、
大きなびわの木を見つけてびわを食べていた。
びわの木のそばには、小屋があり
おばあちゃんが住んでいるらしい。
「ぼくちゃん」と呼ばれてそばに行くと
飴やらお菓子やらを、小さな窓から
皺だらけの細い手を出してよこしてくれる。
が、おばあちゃんが誰かと話しているのを
家の人が知ったのか、大きな怒鳴り声で
おばあちゃんを叱る声に兄妹は驚いてしまう。。。。


と、こんな三つのお話です。
もちろん、エンディングはそれぞれまだ続くし、
細かい描写のジワジワくるところや
ハッピーエンドにも読める
読後の漂ってくる空気とかが妙な感じです。

もうお彼岸ですね。
秋になりますが、ちょっとゾワっとするお話もなかなかよいですよ。

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あひる
今村夏子
書肆侃侃房 2017年

※文庫本でのご案内です。


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