名作ですね。
主人公のグレーゴルが、ある朝起きてみると
大きな虫になっているというお話。
背中は硬い殻がついているようなので
甲虫なのかなと思うけど
イメージとしてはゴキブリかなぁと。
日本の家庭でよく見るゴキブリは羽があって飛びますが
海外には、羽がなくて背中が硬いゴキブリがいるんですよ。
最初はもちろん、本人も肝を潰すのですけど
実際のところ、焦ってはいるけど意外に平静。
いつも通りに仕事をしたいとか、
人間らしい生活を送りたいと考えているのが可笑しい。
母親や、心配して家までやってきた職場の上司は
グレーゴルを見て怯えているにもかかわらずだ。
その中でも逞しいのが妹のグレーテだった。
母親がグレーゴルの姿を見て気絶しても
兄に、なぜ母親の前に出てくるのかと叱責し、母親を看病する。
なんとも頼しい。
彼女は両親の期待を一身に受け麗しく育っていく。
兄は巨大な虫なのに。
まぁ、未読のイメージだと
なんやら陰湿な物語かと思うのですが
これがなんとも淡々としていて、コメディみたいな感じもする。
完全にメタファーなんですね。
本質的には、本人は何も変わっていないのです。
嫡男たる兄さんはしっかりしないといけないようですな。
ページ数も100頁強ですぐ読めます。
お時間のある時にぜひ。
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変身
カフカ 高橋義孝訳
新潮社 2021年
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