読了。
恋愛小説である。
が、御他聞に漏れずなかなか話が進まない。
というか焦ったい。
主人公は、出版社に務める校閲部の40歳手前の女性。
日々、右から左に流れてくる原稿をチェックする日々が続く。
彼女によれば、あらゆるジャンルの文章をチェックをするのだが、
どんな場合であっても、
その文章にのめりこんだり入りこんだりすることは、
校閲者には禁じられているんです。
〜中略〜
ただ、そこに隠れてある間違いを探すことだけに、
集中しなくちゃいけないんです。(p97)
とても難しい仕事だ。
と、思わず聞き手の男性と同じ質問を自分もしてしまった。
感情を動かしてはいけないということらしい。
主人公は、そんなペースの仕事の自分のままでいいのか、
これまでの生活や、進学、進路などの節目節目にあっても、
自分の気持ちを大きく取り乱すこともなく
コンベアーに乗って流れてきたものを
そのまま受け取ってきたような人生に疑問を感じてくる。
一方、同僚の女性社員は快活で、気分のボラティリティも激しく
そんな主人公を見ているといらいらしてくるようだ。
最後には。。。。。
ネタバレしちゃうので伏せますが、
何も選んでこなかった人生を振り返って
主人公が見上げたところに見つけたものはなんだったと思いますか。
切ない人生観ですが、
もしかしたら、ごくごく普通の人のことなんじゃないか
そんな静かなラブストーリーでした。
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すべて真夜中の恋人たち
川上未映子
講談社 2011年
※下記は文庫本でのご案内です。
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