読了。
恐ろしい話です。
恐ろしい話です。
人の生命とは、命の尊厳とは。。。
戦争は本当になにもかも狂わしてしまうのでしょうか。
本書は小説でフィクションなのですが、背筋がぞっとします。
第二次世界大戦末期の日本人とは
どういう人間だったのか。異常者だったのでしょうか。
よく、日本の戦争映画を観たり戦争物を読むと
こんなフレーズを耳にしたことありませんか。
「生きて虜囚の辱めを受けず」
日本軍人、あるいは民間人においても、
人命軽視の議論のもとにもなった一文。
立場が一転して、米国人捕虜に対して、
日本軍はどのような待遇を施していたのか。
ある病棟で医師は、懸命に一人の結核患者の命を助けようとする。
しかし、患者は助かる術もなく姿を消して行く。
あらゆる手をつくしてもどうにもならない悔しさ虚しさに
打ちひしがれているところへ
秘密裏に捕虜に対する「ある司令」の話がおりてくる。
病院内では安楽死について激しい議論が交わされてもいた。
「死ぬことが決まっていても、殺す権利は誰にもありませんよ。
神さまがこわくないのですか。あなたは神さまの罰を信じないのですか」(p113)
医師の複雑な心境を垣間見る描写もあった。
「病室で誰かが死ぬ。親や兄妹が泣いている。
ぼくは彼等の前で気の毒そうな表情をする。
けれども一歩、廊下に出た時、その光景はもう心にはない」(p142)
ある大義名分の下に、多くの人命を救うために
この捕虜たちは「生かされる」として
手術室には、処置をする医師や看護婦長だけでなく、
将校たちが後ろから遠巻きに覗き込んでいたりする。
字面を追うだけで、むっとする場面だ。
もう勘弁してください。
でも、一度は読んでみてほしい。
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海と毒薬
遠藤周作
新潮社 2016年
※下記は講談社文庫でのご案内です。
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