- 「真珠貝防衛指令」
- 「恐怖の宇宙線」
- 「地上破壊工作」
- 「故郷は地球」
- 「空の贈り物」
- 「怪獣墓場」
- 「狙われた街」
- 「第四惑星の悪夢」
- 「円盤が来た」
2024年8月30日金曜日
読了メモ「ウルトラマンの東京」 実相寺昭雄
2024年7月読了本 5冊
『「80年代」と書いて、「EPICソニー」と読む。』
自分も学生だった時代を思い出す。
2024年8月23日金曜日
読了メモ「星の子」 今村夏子
読了。
好きな現代作家さんの一人、今村夏子さんの作品。
お話全体に常にただよう不穏な空気感がなんともいえない。
中学3年生のちひろは、小さい頃は体が弱かった。
両親は、ある人から教えてもらった「金星のめぐみ」という水を飲ませたり、
その水をタオルに浸して体を拭くなどし、不思議とちひろは体調を回復していく。
両親たち自身の健康にも役に立っていると信じて疑わない。
味も他の水と違うというのだ。どうやら甘いらしい。
しかし、これらを不審に思った親戚のおじさんが、
この水を全て水道水に入れ替えてしまう事件がおきたりする。
ちひろは、学校でも辛くて明るい希望の見えない日々を過ごす。
憧れの先生の似顔絵を描くのだが、
友達には計算用のメモ紙にされてしまうし、
当の先生からも叱責されて救いようのない淵に立たされる。
隣に座ることになった転校生にも翻弄されてしまう。
そして、家族は金星のめぐみにまつわる信者が集う「星々の郷」という宿泊地で、
歌を歌ったり、集まった人たちとの交流会に参加する。
一見、楽しそうにも見えるのだが、
いろいろな考え方の人がいて、
ここでも読んでいる側としては心が落ち着かない。
最後は、ちひろと両親で流れ星を見るシーンで終わる。
果たして、この家族は本当に幸せなのだろうか。。。。
最初に読んだ今村さんの作品は「あひる」だった。
このときも読んでいて言いようのない澱のようなものを、
心底に抱えながら読み終えた覚えがある。
今回も存分に今村ワールドを楽しめた。また違う作品を読んでみたい。
なお、本書の巻末には、今村さんと小川洋子さんの対談もある。
2024年8月12日月曜日
読了メモ「怪談 不思議なことの物語と研究」ラフカディオ・ハーン作 平井呈一訳
読了。
日本を愛した小泉八雲ことラフカディオ・ハーン氏による怪談集。
子どもの頃にもよく聞いたことのある
「耳なし芳一のはなし」や「雪おんな」なども、
あらためて読み直してみるとこれが結構こわい。
耳なし芳一などはまずもってスプラッターだし、
雪おんなはナイフのような切れ味でこっちに迫ってくる。
充血した真っ赤な眼が目の前にあるような勢いだ。
「ろくろ首」の話もあるのだが、
自分が知っていたろくろ首とはその形態が異なるのには驚いた。
水木先生の漫画などにあるとおり、
ろくろ首といえばニュル~っと首が長く伸びるものだと思っていたがここではそうではない。若い女性のろくろ首もいるにはいるが、
親分格のろくろ首は鬼のような形相をした山賊のような男で、
しかも首は胴体から離れていたりする。
他にも 長い年月にわたり許嫁の霊が憑いてくる話や
狸がのっぺらぼうになって人を化かす話などがあり、
いすれも日本の怪談独特の怨念や執念のようなものが
お話の向こう側に見えている。
一通りの怪談が終わったあとには、
「虫の研究」といって、「蝶」「蚊」「蟻」についての考察がある。
これは怪談ではないのだが、虫たちの生態を見つめることで、
人間の生き方や今後のあり方に対する意見を述べている。
怪談も面白かったが、個人的にはこの虫に関する研究の話がよかった。
蟻にいたっては分析の結果、蟻社会は超人的に進化しているという。
人間は人口増加という圧迫に対峙し、
蟻のような社会を構築することになるのではないかというくだりは、
怪談とはまたちがった怖さを感じてしまった。
2024年8月4日日曜日
読了メモ「ゾロアスター教 三五〇〇年の歴史」 メアリー・ボイス 著 山本由美子 訳
読了。
神が人間に下したとされる天啓・神託に基づく宗教としては、
世界最古と言われるゾロアスター教。
イランが石器時代から青銅器時代に移行した時代に、
イラン人のゾロアスターが説いたと言われる。
創造主である至高神、それと対立する悪、世界創造の目的と終末論、
救世主信仰、天国と地獄、死後の運命を決める裁判、
死者のよみがえりと最後の審判、邪悪の消滅、
そして正しい者は神の前で永遠に魂も肉体も不死となり幸せとなる。
これらの考え方は、のちのキリスト教、イスラム教、仏教に大きな影響を与えた。
イランからインドにおよぶ近東と呼ばれる地域では、
もともと聖像の形で神や女神を崇拝する慣習があり、
時の権力者や帝国はその統治のために偶像崇拝の寺院を建立した。
しかし、ゾロアスター教徒は、寺院を建立しても
祭壇に彫像を置く代わりに聖所に火をおいたという。
火は闇や寒さをしのぐだけでなく、悪や無知にも戦うとみなされ、
勇気と希望、勝利にささげられた。
これらを背景にゾロアスター教を「拝火教」とも呼ぶようだ。
イスラムの偶像崇拝の否定は有名だが、
そのもとを辿るとゾロアスター教にあるようだ。
また、ゾロアスター教の下での葬送儀礼は風葬とされている。
ゾロアスター教では、神々は世界を
天空、水、大地、木、動物、人間、火の七つに分けて創造したと言われる。
火でさえも穢れたものを焼くことは許されず、
大地も穢されてはならず土中への埋葬は禁忌だった。
これらから、ゾロアスター教では風葬の儀礼があったという。
死体は荒野に放置され、魂は陽光の道を通って天空に昇り、
腐肉は禿鷹や獣によって食われ、残った骨だけが埋められたという。
自分がゾロアスター教の名称を目にしたのは、
高校の世界史の授業で、それ以上のことは何も知らなかった。
本書を通じてイラン・インド地域の長い歴史に
ゾロアスター教が深く関わっていること、
また世界におよぼした影響の大きさに驚く。
ただ、イラン・インド地域の歴史は非常に複雑で、
他民族も流入したほか、権力者の名前も似通っていたりで、
読み進めるのは困難ではあった。
現在、ゾロアスター教徒の多くはインドにあり、
世界各地に散らばっているが、生活の中での祭儀儀式の役割、
信仰や教育のあり方、族外婚配偶者や子孫の信徒としての受け入れなどの問題があり、
なかでも喫緊の問題は祭司の数の減少をくいとめることだと言われている。