読了。
日本を愛した小泉八雲ことラフカディオ・ハーン氏による怪談集。
子どもの頃にもよく聞いたことのある
「耳なし芳一のはなし」や「雪おんな」なども、
あらためて読み直してみるとこれが結構こわい。
耳なし芳一などはまずもってスプラッターだし、
雪おんなはナイフのような切れ味でこっちに迫ってくる。
充血した真っ赤な眼が目の前にあるような勢いだ。
「ろくろ首」の話もあるのだが、
自分が知っていたろくろ首とはその形態が異なるのには驚いた。
水木先生の漫画などにあるとおり、
ろくろ首といえばニュル~っと首が長く伸びるものだと思っていたがここではそうではない。若い女性のろくろ首もいるにはいるが、
親分格のろくろ首は鬼のような形相をした山賊のような男で、
しかも首は胴体から離れていたりする。
他にも 長い年月にわたり許嫁の霊が憑いてくる話や
狸がのっぺらぼうになって人を化かす話などがあり、
いすれも日本の怪談独特の怨念や執念のようなものが
お話の向こう側に見えている。
一通りの怪談が終わったあとには、
「虫の研究」といって、「蝶」「蚊」「蟻」についての考察がある。
これは怪談ではないのだが、虫たちの生態を見つめることで、
人間の生き方や今後のあり方に対する意見を述べている。
怪談も面白かったが、個人的にはこの虫に関する研究の話がよかった。
蟻にいたっては分析の結果、蟻社会は超人的に進化しているという。
人間は人口増加という圧迫に対峙し、
蟻のような社会を構築することになるのではないかというくだりは、
怪談とはまたちがった怖さを感じてしまった。
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