読了。
いずれも大航海時代を経て、
南北アメリカ大陸から、ヨーロッパ、アフリカやアジアへ
伝播していった野菜たちの物語。
なかには、原産地とは違った食べ方になって、
ブーメランのようにアメリカ大陸に戻ってきたものもある。
インゲンマメ、ピーナッツ、カカオ
この7つの野菜にページが割かれているが
他にも、カボチャ、パイナップル、バニラ、
アボカド、イチゴ、カシューナッツ、キャッサバなど
アメリカ大陸を原産地とする作物が登場する。
旧大陸に持ち込まれ広まったトウモロコシやジャガイモは、
単位面積当たりの収穫量が多かったからというのはわかりやすい。
一方、新しい食べ物がゆえにアレルギーが広まったり、
その見た目の形状からタブー視されていたものがあったりもして
野菜とはいえ、その普及の道のりは平坦ではなかったようです。
トウガラシなどは、まずアジアで短期間に広まり、
そこでのトウガラシ文化がヨーロッパに伝わったそうです。
確かに、漢字でも唐辛子と書くし、
アメリカ大陸が原産とは思ってもみませんでした。
カカオのところでは、キスチョコ型の街灯のあるハーシーや、
ヴァンホーテンの紹介もありました。
好きなココアを飲みながら、ここらあたりを
もうちょっと掘り下げて読んでみたい気にもなります。
本書にも書かれている通りで
およそ、これらの野菜が存在しない現在なんて想像できません。
さすがに、キャッサバまでは食べたことはありませんが
トマトソースのないパスタ、辛くない麻婆豆腐、
ピーナッツの入っていない柿の種、
チョコレートのないお菓子屋...... なんてありえない。
ただ、読んでいてちょっと悔しかったのは、
これらの野菜を使った料理や食べ方がいろいろと紹介されているのですけれど、
カタカナの活字だけではよくわからず、すぐにピンとこないのでした。
料理に詳しい方や、世界各地の料理を体験されている方は
イメージもすぐにできて、きっと一層楽しめるのではと思います。
一方、コロンブス、ヴァスコ・ダ・ガマ、ピサロやコルテス、
テノチティトランなどの人名や地名が出てきて
高校で世界史を選択していた自分としては
知ってる言葉や記憶の片隅にある懐かしい言葉に出会えて
へんな高揚感を持って読むこともできました。
学生の頃に覚えたことってこんな楽しみ方もあるんですね。
================
世界を変えた野菜読本 トマト ジャガイモ トウモロコシ トウガラシ
シルヴィア・ジョンソン
晶文社 1999年